ドラマはこんな風に作られていく
まずはドラマが制作される流れを、簡単に解説します。ドラマプロデューサーは番組自体を企画し、実現していく責任者。例えば「20~30代の心に刺さる恋愛ドラマを作りたい」と考えたら、その脚本を誰に書いてもらい、主演や共演者は誰に演じてもらい、主題歌は誰に歌ってもらうかなど、ドラマ自体の骨組みを決めます。
そして、実際に脚本家と話し合ったり、出演者やアーティスト事務所と交渉し、内容を詰めていきます。脚本家が最初から「主役はこの人に演じてもらいたい」とイメージして書く「当て書き」をする場合もあります。
出演者の事務所側は、その番組に出るメリットはあるのか、撮影にかかる約3カ月をその俳優に充てられるのか、現在出演中の他番組と調整して撮影することができるかなどを考え、本人と話し合いながら出演を検討するのです。
いよいよ撮影スタート!露出は同時期に集中させてインパクトを刷り込む
企画も決定し、無事スポンサーも付いたら撮影がスタート! それと同時にテレビ局宣伝部は、出演俳優に同局のバラエティー番組などに出演してもらったり、撮影の空き時間を使ってコメントをもらったりして、ドラマの宣伝を行っていきます。最近ではグルメバラエティー番組『バナナマンのせっかくグルメ!!』(TBS系)や、クイズバラエティー番組『THE突破ファイル』(日本テレビ系)などに、ドラマの宣伝として俳優が出演しているのをよく見かけます。普段は演技をしている姿しか見られない俳優の素の姿が見られるので、ファンとしてもうれしいし、バラエティー番組からしても特別感や豪華感が出て、相乗効果になりますよね。
放送が近づいてきたら記者会見を行い、新聞や雑誌やネットの記者にも取材を掛けあい、メディアに番組情報などを掲載してもらいます。さらに、渋谷や新宿などの大都市をはじめ、ターゲット層が多そうな街の大型ビジョンでムービーを流したり、巨大ポスターを展示したり、電車の車両内全てを番組ポスターで埋め尽くす「車両ジャック」などの広告を展開。あらゆる方面から視聴者にインパクトを与えていきます。
放送当日は電波ジャック、放送がスタートしたらCMも!
そしていよいよドラマ放送の当日になると、その局で行われている全ての生放送番組(ニュースなど)に朝から夜まで1日中出演してもらう、“電波ジャック”を行うこともあります。事前に「見てみたいな」と思い始めていた人や、番組を知らなかった人に「今日から放送ですよ!」と放送前の最後の告知をして、見てもらえるように誘導するのです。また、ドラマの主演俳優がCM契約している会社がスポンサーとして入ることが多いので、ドラマの合間のCMでもその俳優の顔を見ることになります。
こうして人気俳優は、同時期一気にテレビ、CM、雑誌、ネットニュースで見かけるようになり、「この俳優の顔毎日見る!」現象になるのです。もちろん、人気俳優が実際に忙しいことは当然ですが、CMやあらゆるメディアで繰り返し放送されることによって、何倍にも膨れ上がって顔を見ることになるので、視聴者からすると「異常なスケジュールをこなしている」ように見えるのかもしれません。
この記事の筆者:栗原なお
テレビ局関連会社の宣伝部でドラマの公式Webサイトなどの制作に携わる。その後、編集プロダクションやエンターテインメント専門誌の編集を担当。現在はライターとして、長年のマスコミ業界での経験を生かしたコラムの執筆をはじめ、取材やインタビュー活動も行う。
テレビ局関連会社の宣伝部でドラマの公式Webサイトなどの制作に携わる。その後、編集プロダクションやエンターテインメント専門誌の編集を担当。現在はライターとして、長年のマスコミ業界での経験を生かしたコラムの執筆をはじめ、取材やインタビュー活動も行う。