目黒さんは、普段アイドルグループ「Snow Man」のメンバーとして活躍。そんなSnow Manですが、目黒さん以外にも多くのメンバーが夏ドラマに出演中です。
渡辺翔太さんは、中村アンさんとのダブル主演で『青島くんはいじわる』(テレビ朝日系)、向井康二さんは『マウンテンドクター』(カンテレ・フジテレビ系)、阿部亮平さんは『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)にそれぞれ出演しています。
この記事では、夏ドラマで活躍するSnow Manメンバーの演技について、毎クールほとんどのドラマを視聴している元テレビ局スタッフの筆者が、勝手に評価していきたいと思います。
演技派俳優の中でも「目黒蓮」が光る訳とは?
まずは、なんといっても話題を集めている目黒さんから評価していきます。『海のはじまり』のあらすじを解説すると、目黒さん演じる主人公・月岡夏に娘がいたことが突然判明します。大学生時代に交際していた南雲水季(古川琴音)が極秘に出産していた娘で、その水季が病気で亡くなったことをきっかけに父娘が対面。突然現れた娘に戸惑いながらも、父親として娘である南雲海(泉谷星奈)とのつながりを作り出そうと、懸命に努力する姿が描かれています。
この作品では、社会現象を巻き起こした『silent』(フジテレビ系)のスタッフが勢ぞろい。キャストも豪華で、有村架純さんや大竹しのぶさんなど演技派俳優が出演している中で、目黒さんの魅力が光っています。
目黒さん演じる夏は、ストーリーを通して“優柔不断”な主人公。やさしい性格が故に人に合わせることが多く、頭を使うことを避けるように生きてきた部分がある設定です。
これまで『silent』、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』や、『トリリオンゲーム』(TBS系)などで目黒さんが見せてきた個性あふれるキャラクターとは違い、良い意味でも悪い意味でも“普通”。飛び抜けた魅力があるわけではなく、時にその優柔不断な性格が視聴者のイライラを買うこともあるほどです。
しかし、そんな普通のキャラクターが主人公でありながら、視聴者はどんどんストーリーに引き込まれていきます。突然、理由も解らず恋人に別れを告げられる夏、子どもがいることが分かる夏、現在の恋人との関係に悩む夏……。その全てがリアルで、目黒さんの演技力の高さが光っているのです。
「自然体な演技」で俳優としての力量を見せつける
中でも圧巻だったのは、水季との別れのシーン。夏と水季は子どもができてしまい、人工妊娠中絶手術を決意。そんな経緯がある中でも未来へつながる話をしていた2人ですが、夏は水季から電話で「好きな人ができちゃった」と別れを告げられます。目黒さんは5分以上にわたる電話シーンを1人で演じ、表情や目の動き、セリフの強弱で男女の切ない別れを演じきりました。夏には、水季に人工妊娠中絶手術をさせてしまった(実際には中絶せず、海が誕生する)という罪悪感もあり、一方的に別れを告げる水季に対して、怒るわけでもない複雑な感情があります。そういった心の中を、目黒さんは一人芝居で表現することに成功しました。
また、娘である海との関係では、徐々に打ち解けていく様子を柔らかい笑顔や言葉のやりとりで表現。水季の両親との関係性についても、細やかなしぐさなどで打ち解けていく夏の様子を丁寧に見せています。
「自然体の演技」という言葉がありますが、目黒さんの芝居はまさに自然。この自然体の演技は誰にでもできるわけではなく、脚本の理解度の高さや俳優の力量が問われるものです。目黒さんは、“面白みのない主人公”を演じることで進化を見せ、これまでの作品では見られなかった俳優としての魅力を発揮しています。