これは「オーバーブッキング」と呼ばれ、実は日本でも日常的に起こり得ます。オーバーブッキングになると協力者を募り、補償が受けられることも。オーバーブッキングについて、「All About」旅行ガイドのシカマアキが回答します。
(今回の質問)
飛行機のオーバーブッキングで2万円もらえるって本当?
(回答)
本当です。ただし、会社ごとに補償内容が違い、協力するかどうかは状況次第です。
以下で詳しく解説します。
「オーバーブッキング」の仕組みは?
オーバーブッキングは、日本語で「過剰予約」のこと。つまり、飛行機の実際の座席数よりも多い予約数が入った状態です。しかし、キャンセルせずに搭乗もしない「ノーショー」と呼ばれる行為をする客が、日々少なからずいます。それを見越し、座席を1席でも多く埋めたい航空会社は、航空券を多めに販売しているわけです。国土交通省が発表する「フレックストラベラー制度の状況」(2023年10~12月)によると、オーバーブッキングの頻度は以下となっています。
航空会社別に補償内容が異なる
座席が足らなければ、出発前にトラブルになると思われがちですが、日本国内の場合、トラブルはほぼありません。航空会社ごとに協力者に補償する「フレックストラベラー制度」があるからです。なお、振替は別の便、他の交通機関なども含みます。なお、出発が翌日以降となり、宿泊が必要になった場合の宿泊代金、空港~宿泊施設または自宅の交通費も、協力金とは別に、各社の規定内で支払われます。
ANAには事前登録制度もある
ANAグループでは、自社のマイレージ会員を対象とした「AMCフレックスパートナー登録」があります。フレックストラベラーとして協力できる意思があるとあらかじめ登録する制度です。登録済みでも協力義務はなく、協力するか否かはその場で判断することができます。協力者は、出発前の館内アナウンスや搭乗ゲートでの掲示で主に募ります。一方、登録済みの上級会員が、空港のラウンジで個別にスタッフに呼ばれて要請されたと聞いたこともあります。
海外では大きな事件に発展も……
オーバーブッキングは、海外でもよく起きています。最も有名なのは、2017年にアメリカ、ユナイテッド航空で起きた事件。中国系医師が機内から引きずり出されてけがをした動画などが世界中に拡散され、会社のイメージダウンとその後にオーバーブッキングの補償で最高1万ドル(約155万円)を支払うことが表明されました。筆者も何度か、この「ご協力者のお願い」を、搭乗ゲートの前で見かけたことがあります。しかし、気づいて申し出た時は毎回、「すでに定員に達しました」となっています。飛行機に日ごろからよく乗る人ほど、この制度のことをよく知っているようです。もし遭遇した場合、自分のスケジュールに余裕がある、代替手段を確保できるなどであれば協力しても良いでしょう。
この記事の筆者:シカマ アキ
大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、読売新聞の記者として約7年、さまざまな取材活動に携わる。その後、国内外で雑誌やWebなど向けに、取材、執筆、撮影など。主なジャンルは、旅行、飛行機・空港、お土産、グルメなど。ニコンカレッジ講師をはじめ、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も。
大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、読売新聞の記者として約7年、さまざまな取材活動に携わる。その後、国内外で雑誌やWebなど向けに、取材、執筆、撮影など。主なジャンルは、旅行、飛行機・空港、お土産、グルメなど。ニコンカレッジ講師をはじめ、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も。