今回はクルーズコンサルタントで旅行ジャーナリストの筆者が、この発表について、利用者目線で「何がすごい?」「何がうれしい?」を解説します。
日本船籍のファミリー向けクルーズは空白地帯
ディズニークルーズが就航というニュースで、まず1番に注目したいのが「日本船籍」を予定しているということ。これが利用者からすると大きなメリットとなります。クルーズといっても、船の大きさやコンセプトによって過ごし方は大きく変わります。
現在、日本船籍のクルーズ船は、郵船クルーズが運航する「飛鳥Ⅱ」、商船三井が運航する「にっぽん丸」の2隻のみ。それぞれ2025年には「飛鳥Ⅲ」を、2024年12月には「MITSUI OCEAN FUJI」のデビューを発表していますが、いずれもターゲットは「大人」。3~5万トン程度の比較的小さめの船体で、ゆったりと美食やホスピタリティを楽しむラグジュアリーなクルーズ船です。
そのため、ファミリーを想定した「キッズクラブ」や、子ども向けのアクティビティはありません。(※夏休みなど期間限定で子ども向けのサービスやイベントなどは実施されます)
そんな中、今回はファミリーにも絶大な人気を誇る「ディズニークルーズ」が、日本船籍で運航を発表。日本におけるファミリー向けクルーズの空白地帯を埋めることになります。
日本船籍だから、短い休みでもクルーズ旅行が可能!
ここ数年、ファミリーに人気なのが外国客船のクルーズ。中でも10万トン超の大型客船は、お子さまから大人まで楽しめるエンターテインメントが充実。しかも1泊当たり1万円代~と利用しやすい価格から乗船できるとあって人気です。一方で、外国客船には、カボタージュという「自国の沿岸輸送、すなわち内航海運は自国船に限る」という規制があります。つまり外国船籍は、日本国内だけの輸送はできず、1度海外へ立ち寄る必要があるということ。
この規制のため、外国船籍の日本発着クルーズでは、韓国の釜山や済州島、あるいは台湾などへ立ち寄るのが一般的。すると、例えば首都圏発着の場合なら1週間程度と、どうしてもクルーズ期間は長くなります。
その点ディズニークルーズは、日本船籍ということで上記の縛りがありません。つまり1泊2日などのクルーズも設定が可能となります(※発表によると首都圏発着で、2〜4泊のショートクルーズを予定とのこと)。
働き方改革が進んだとはいえ、ファミリー世帯は子どもの学校もあり、長期の旅行に出かけるのは大変なこと。旅行期間がネックでクルーズを諦めていたファミリー層も多くいました。ディズニークルーズは日程的に参加がしやすい点も大きなメリットとなります。また国内輸送なのでパスポートが不要なのもうれしいポイントです。