「All About」ガイドで、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演する安蔵靖志が解説します。
(今回の質問)
扇風機の電気代はエアコンと比べてどれくらい安いんですか?
(回答)
扇風機の消費電力はフル稼働してもせいぜい数十Wなので、最大で1000Wを超える場合もあるエアコンに比べてかなり低消費電力です。
扇風機の方が圧倒的に省エネ
扇風機とエアコン、どっちがどのくらい省エネ?……というのは実際の製品を比べてみないと分かりにくいので、エアコンメーカー各社が仕様として公開している「期間消費電力量」を基に、かかる電気代の目安を比較してみることにしましょう。エアコンと扇風機ともにパナソニックの最新モデル(2024年モデル)、フラッグシップモデルのエアコン「LXシリーズ」の「CS-LX224D」(冷房時おもに6畳用)、扇風機はリビング扇風機の「F-C337B」を比較してみました。
期間消費電力量とは、JRAIA(一般社団法人日本冷凍空調工業会)によると以下のような基準で算出されています。
【期間消費電力量の算出基準】
外気温度:東京をモデルとしています
設定温度:冷房時27℃/暖房時20℃
期間:冷房期間(5月23日~10月4日)
暖房期間:(11月8日~4月16日)
時間:6:00~24:00の18時間
住宅:JIS C9612による平均的な木造住宅(南向)
部屋の広さ:機種に見合った部屋の広さ
エアコン「CS-LX224D」の冷房時の期間消費電力量は168kWhで、1kWhあたり31円で換算すると約5208円です。5月23日から10月4日まで135日間の合計なので、単純に135で割ると1日あたり約38.6円という計算になります。
一方、リビング扇風機「F-C337B」の消費電力は最大風速で15Wで、これを1日18時間、135日間つけっぱなしにすると36.45kWh(約1130円)になります。1日あたりだと約8.4円です。
この2つの数値を比較すると、扇風機の方が圧倒的に省エネなのは間違いありません。6畳用ではなく、8畳用、10畳用、14畳用と大きくなればなるほどエアコンの期間消費電力量は上がりますし、フラッグシップモデルよりも価格の安いスタンダードモデルやエントリーモデルだとさらに上がります。
扇風機に室温を下げる機能はない。エアコンと上手に組み合わせて
ただし、扇風機は風を浴びている人を涼しく感じさせることはできるものの、エアコンのように室温を下げる機能はないことを決して忘れないでください。例えば外気温が28度以下で、室温が30度を超えるような場合は、扇風機やサーキュレーターなどを使って室内と室外の空気を入れ替えることで室温を下げることも可能です。しかし外気温も室温も30度を超えているような猛暑の場合、扇風機をつけても大きな効果がないどころか、熱中症を引き起こす危険性があります。
外気温よりも室温が高い場合は、窓を開けて扇風機をつけることで涼むこともできます。しかし30度以上の真夏日や35度以上の猛暑日の場合は、熱中症を防ぐだけでなく健康にも留意しながら、エアコンと扇風機を組み合わせて心地よい室内環境を作ってください。
All About ガイドがすすめる扇風機:パナソニック「F-C337B」
この記事の筆者:安蔵 靖志
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。