「All About」ガイドで、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演する安蔵靖志が解説します。
(今回の質問)
扇風機の買い替えの目安はありますか? 寿命が知りたいです。
(回答)
本体や取扱説明書に記載されている「設計上の標準使用期間」を買い替えの目安に。具体的には10~12年のモデルが多いと考えられます。
「設計上の標準使用期間」を買い替えの目安に
扇風機には「リズム風」「タイマー機能」などさまざまな機能が搭載されているものの、基本的な設計はスイッチをオンにするとモーターがプロペラを回すという比較的シンプルなものなので、故障することはそれほど多くはありません。しかし長年使っているうちに、モーターから発せられた熱や室内の湿気、ホコリなどの影響によって経年劣化し、発火やけがなどの事故につながる恐れがあります。こうしたことから、電化製品の安全性を取り締まる電気用品安全法において、2009年4月以降に製造される扇風機や換気扇などは製品本体と取扱説明書に「製造年」と「設計上の標準使用期間」、注意喚起文の表示が義務付けられるようになりました。
この「設計上の標準使用期間」はメーカーがそれぞれに設定したもので、その期間内に故障などのトラブルが生じても保証が受けられるというものではありません。ただ、「1日あたりの使用時間」や「1日の使用回数」、「1年間の使用日数」などの想定内での標準使用期間を示したものなので、「寿命」という視点では一定の信頼がおける数値だと考えられます。
この期間を過ぎるとただちに危険というわけではありませんが、
・スイッチを入れても羽根が回らない
・羽根が回っても、異常に回転が遅かったり不規則だったりする
・羽根の回転中に異常な音や振動がある
・モーター部が異常に熱かったり、焦げ臭いにおいがする
・電源コードが折れ曲がったり、破損したりしている
・電源コードに触れると、羽根が回ったり、回らなかったりと不安定
上記のような症状や、購入当初には見られなかった症状が見られる場合は、使用を中止して購入した販売店またはメーカーの相談窓口などに相談する、もしくは買い替えを検討してみてください。
各社の標準使用期間を見てみると……
ちなみにDCモーターを搭載する2024年発売のリビング扇風機で比較してみたところ、東芝ライフスタイルの「TF-30DL27」は「10年」、シャープの「PJ-S3DS」も「10年」、パナソニックの「F-C337B」は「12年」となっていました。この標準使用期間はメーカーや製品ごとにまちまちなので、買い替える際にはその年数もチェックしてみてください。家電製品の多くは、「家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約及び施行規則」の第12条で「補修用性能部品の保有期間」が定められています。これは家電製品が故障したときに修理するための部品を家電メーカーが保有しなければならない期間のことで、こちらでは扇風機は「8年」と定められています。製造から8年が経過すると修理ができない場合がありますので、その場合も買い替えが必要になるので注意が必要です。
All About ガイドがすすめる扇風機:パナソニック「F-C337B」
この記事の筆者:安蔵 靖志
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。