【実際の投稿:何が批判を浴びているのか?】
「この映画怖い」
同メディアは5日に公開予定の映画『先生の白い嘘』のインタビュー記事「主演女優オファーに難航、『10人くらい』に断られ⋯約10年かかった男女の性の格差を描いた 『先生の白い嘘』」を4日に公開。すると、またたく間に監督が話したとある部分がネット上で批判を浴びる事態に……。地の文で「撮影は2年前。劇中には性に関する繊細な描写もあるが、過激すぎず、意図はしっかりと伝わる見せ方になっている」と書かれたあと、三木康一郎監督の話として「奈緒さん側からは『インティマシー・コーディネーター(性描写などの身体的な接触シーンで演者の心をケアするスタッフ)を入れて欲しい』と言われました。すごく考えた末に、入れない方法論を考えました。間に人を入れたくなかったんです。ただ、理解しあってやりたかったので、奈緒さんには、女性として傷つく部分があったら、すぐに言って欲しいとお願いしましたし、描写にも細かく提案させてもらいました。性描写をえぐいものにしたくなかったし、もう少し深い部分が大事だと思っていました」という記述があります。
同映画で主演を務める奈緒さんがインティマシー・コーディネーターを希望したにもかかわらず、三木監督は悩んだ末にそれを却下したとのこと。ここがネット上で問題になっています。
俳優の要望を断ってインティマシーコーディネーターを入れなかったことを、まるで料理の隠し味みたいに美談に仕立て上げている時点で、絶対に理解できていない
インティマシーコーディネーターを入れた方が良かった理由が詰まっているインタビューだった。監督がこの題材を扱いながら、ここまで自分の特権性に無自覚なの逆にすごい
性被害を描く作品で、俳優が要望したインティマシーコーディネーターを「間に人を入れたくなかった」と拒むなんてあんまりでは
これ見て高嶋政伸が自分の娘に幼い頃から性的暴行を加え続けている父親役を受ける代わりに「必ずインティマシーコーディネーターを付けること」をお願いした素晴らしいエピソード思い出した
インティマシーコーディネーターのことを完全に誤解してるし、それを希望した俳優のことも尊重しようとしない監督が性を扱う映画を撮るな
それをインタビューで言えちゃう軽さ。この映画怖い
など、厳しい意見が多数上がりました。
インティマシー・コーディネーターとは?
インティマシー・コーディネーターとは近年よく聞くようになってきた単語ですが、一般的な知名度はまだ低いかもしれません。作品内で性的なシーンを撮る必要がある場合、監督と俳優の間に入り、主に俳優側の声を拾い上げる役割を担います。どうしても立場上、監督の方が力関係が上になってしまうことも多い中、監督と俳優だけでは、嫌なことや不安があった際にそれを伝えることができません。インティマシー・コーディネーターは、両者の間に立ち、互いの意思疎通を図り、また俳優の精神的なサポートも行います。俳優にとっては力強い存在で、監督にとっても制作側の意思をしっかり俳優に伝えてくれるので、誰も無理をせず、撮影がスムーズに進みます。
応援コメントの依頼を断る
さらに、小説家としても活動するライターの鈴木みのりさんは自身のXで以下のように明かしました。応援コメントの依頼があった映画版の『先生の白い嘘』、試写で鑑賞し、思うところがあって引き受けませんでした。性暴力描写への注意喚起はサイトの「ご鑑賞予定のみなさまへ」をクリックしないと表示されないので、注意してください。
インティマシー・コーディネーターの必要性も広報の方には伝えました。原作の良さ同様、きらめく瞬間もあり、特にクリニックの医師とのやりとりや、終盤、看護師さんからかけられる言葉など、メンタルヘルスのケアや、DVの可視化がいかに難しく、だからこそ同じような目にあってシンパシーやエンパシーを寄せてくれる存在といった、今の時代に足りないものが描かれていて、こういう表現を必要としている観客もきっといるだろうとも思います。だからこそ、性暴力描写について、インティマシー・コーディネーターや、暴力とトラウマに関する監修などをよりはっきりと打ち出してほしかった。
奈緒さん、とてもすばらしい俳優だと思う。
今まで数々の映画やドラマを世に送り出してきた三木監督ですが、今回の映画では性に対する認識が甘かったのではないでしょうか。今後三木監督から何か声明は出されるのか、注視したいですね。