若い世代の人口自体が少ないにも関わらず、1人の女性が生涯で出産する子どもの数が1を切るということは、人口減少がより加速していくことを意味します。
Q. 出生率や婚姻率が低下しても29歳のうちに結婚したい?
少子化や出生率の低下と深く関連しているのが結婚です。厚労省の最新データによれば、婚姻件数は前年比で約3万組減少し、婚姻率も低下。出生率が全国最低の東京都は、平均初婚年齢も最も高く、妻31歳台を記録していますが、全国で見ると平均初婚年齢は夫31.1歳、妻は29.7歳で、夫婦ともに前年と同年齢となっています。今回はこれに対して、「出生率は減少しても、女性が30歳になる前に結婚したい気持ちが変わらないのはなぜ?」という疑問に答えていきます。
29歳で結婚したい……“なんとなく29歳”の正体
女性の結婚適齢期については、昭和から平成初期にかけては婚期を逃した女性を指して「オールドミス」、クリスマスケーキに例えて「25を過ぎたら売れない」などと言われてきました。令和の時代になっても、初婚同士に限って言えば「女性は20代で結婚するものだ」という“なんとなく”の常識は、ずっと漂っています。結局、人はなんとなく物事を捉えているに過ぎません。
記憶をさかのぼれば、子ども時代に触れ合った絵本やアニメに描かれていたプリンセスの嫁入りシーンは、決まって若々しいお姉さんの姿でした。そして、それらを読み聞かせながら母親は娘にこう言います。
「お母さんは短大を卒業して、22歳でお父さんと結婚したのよ」
そんな親世代の価値観が娘の中で言霊のように一人歩きし続けて、結婚式と言ったら若くてかわいい花嫁がウエディングドレス姿で指輪交換をするという先入観が植えつけられていくのです。
かといって、「今どき25歳で結婚するのは早い!」ということを言いたいのではありませんよ。年齢を重ねてから結婚する人の割合が増えて、データ上の平均初婚年齢を押し上げているということです。
「初婚の妻の年齢(各歳)」の構成割合を10年ごとに比較すると、ピークの年齢は20年前は27歳で、令和5年は26歳となっています。つまり女性が結婚する年齢のボリュームゾーンは、20年前からずっと26~27歳。
今でも26~27歳ごろに結婚ラッシュがあり、晩婚化が進む首都圏在住の女性にも地元の同級生から結婚式のお誘いが次から次への舞い込みますが、そのうちパタッと結婚式に呼ばれなくなるのです。すると焦りを感じて、「28歳になったし、なんとか20代のうちに結婚したい!」と婚活に励むようになる……これが“なんとなく29歳”の正体です。
「29歳で結婚」することは、データや世の中的な結婚観と照らし合わせても「ボリュームゾーンより少し遅い」年齢ですから、適正な焦りではあるのです。