「婚活」の落とし穴 第11回

「年の差婚」の限界点……男性40代×女性20代は結婚相談所でも0.5%のスーパーレア案件だった!

芸能界では「年の差婚」が相次ぎ話題になっていますが、一般的にも増えているのでしょうか。婚活アドバイザーの植草美幸が婚活現場の実情をお伝えします。(サムネイル画像出典:KieferPix / Shutterstock.com)

“限界年齢”は30歳差!? 結婚相談所で0.1%のスーパーレアケース

結婚相談所でも、男性が年上の「年の差婚」は減ってきています。事例はあるにはありますが、いずれかが再婚、女性が40代以上など、比較的高齢のマッチング事例が多い印象です。

過去をさかのぼると、男性が億単位の年収かつ再婚であれば、年齢差は最大で26歳差、30歳差の事例がありましたが、ともに、40代女性と60代男性、40代女性と70代男性。

前者は男性が経営者で、2回目以上の結婚、初婚の妻との間に子どもありでした。70代男性はクラシック鑑賞の趣味があり、妻は初婚のピアニストだったので、娘のような妻が音楽の夢をかなえられるように応援したいと再婚を決めました。

今回の高橋さん&飯豊さんのような40代と20代の結婚は、私の結婚相談所では0.5%(1000件中5件)。直近では昨年、離婚歴2回の49歳弁護士の男性が専業主婦希望の27歳女性と、22歳差の結婚をされました。

ほかにも、会社員の51歳・初婚男性と、32歳の元看護士女性の成婚事例もありました。女性は婚活のため休職し、収入なし。男性は年収800万円ほどで、ぜいたくはさせられないけれどお相手の職業や収入は問わず。実は、この女性は幼少期に両親の離婚を経験しており父親像を知らず、過去に年上との恋愛経験もなかったものの「婚活を通して自分は大人の男性を求めていたことに気が付いた」と言っていました。

ほかのお見合い相手と違って、「いいよ、そうだね」と受け止めてくれて優しく上品なところが年の離れたお兄さんのようで、惹かれていったそうです。一方の男性は、30代の若い女性と結婚できるとは思っていなかったと振り返っています。

女性のお母様は20歳近い年の差に驚いていましたが、本人がいいならとご縁を認めてくれました。

年の差カップルの破談事例「勝手に○○されて世代差を感じた、価値観が違う……」

49歳男性と25歳女性の破談になった事例も紹介しましょう。

その理由は、「男性がなんでも勝手に決めてしまう」というもの。例えば、「次のデートはお台場に行こうね」と話していたのに、直前に男性が「やっぱり違うとこに行かない? 疲れるから。楽なところがいい」と家の近くに急な変更をされ、同じように覆されたことが3回もあったのだとか。「一度は行こうと言ったのに……おじさんだから腰が重いのかなと思ってしまった」と言います。

男性が年上の年の差カップルの場合、デートプラン以外にも、「食事のメニューを一方的に決められた」というクレームが非常に多いのです。

おなかが空いていないのにコース料理を指定された、勝手に頼まれて「これでいいよね?」と言われた、という苦情もよく聞きます。

年上男性は若い彼女を行きつけの飲み屋に連れて行ったり、友達にモテ自慢をしたりして、それに年下女性がうんざりして、「世代差を感じた、価値観やセンスが違う」と言ってくることも……。

年齢差が10歳、15歳もあると、対等な関係は難しいもの。「同世代と違ってリードしてくれる」と捉えることもできますが、今どきの婚活女性は「いっしょに○○しようね」と言われるのが大好き。「どれにする? いっしょに決めよう」という態度がないと、「寄り添ってくれない、私の意見を聞いてくれない、結婚生活も一事が万事こうなるだろう」とネガティブに受け止める人が少なくないのです。そういう意味では、同世代のほうが歩調を合わせやすいと思うのは頷けます。

「20代と結婚できる?」と期待する40代以上の男性が増えても、現実は厳しい

これらすべてが、一般男性が年下女性との結婚を望んでもなかなか決まりにくい理由につながっています。

芸能人の結婚ニュースがあると、「自分も20代と結婚できる?」と考える中年男性が増えることが予想されますが、現実は難しいことをお伝えしておきます。

年の差婚を実現する男性は、年齢を重ねてもこじらせたり価値観が古くなったりしていません。経済力だけでなく人間力も必要で、美意識などすべてを兼ね備えていること。

パートナーとなる女性は、実年齢以上に精神年齢が高く、世代間ギャップを感じず、むしろ居心地がいいと感じさせること。これらが重なって初めて起こる、たった数パーセントの希少な事例だということを心得ましょう。

※参考:厚生労働省「人口動態調査(初婚夫妻の年齢差別にみた年次別婚姻件数及び百分率)
 
この記事の筆者:植草 美幸
結婚相談所マリーミー代表。恋愛・婚活アドバイザー。ラジオやWebメディアも含め、年間約2000件の恋愛・結婚相談を有し、自身が代表を務める相談所では年間成婚率80%を達成するなど業界異例の成果を誇る。『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)をはじめテレビ出演多数。著書に『ドキュメント「婚活」サバイバル』(青春出版社)、『結婚の技術』(中央公論新社)など。
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