指導歴20年の塾講師が語る「中学受験に向いていない」5つの性格。幼い子は不利って本当…?

「うちの子、幼いんですけど中学受験に不向きでしょうか?」といったご相談をよくいただきます。中学受験に向いていない性格について、受験指導歴20年の塾講師がお伝えします。

幼い子は不利なの!? 中学受験に不向きな5つの性格

中学受験に向いていない性格
幼い子は中学受験に向かない?
「うちの子、幼いんですけど、中学受験には向いていないでしょうか?」といったご相談をよくいただきます。

わが子に中学受験をさせたいと思っていても、向いていないのに無理にやらせたら勉強が嫌いになってしまうのではないかとか、自己肯定感が下がってしまうのではないかと不安になりますよね。

たしかに「幼い子は不利」と言われることは多く、その通りなことも多いです。しかし、幼さにもいろいろあり、タイプによって、有利か不利か話が変わります。

例えば、「ママのことが大好きでいつもべったり甘えてくる」といった幼さであれば、受験で問題になることはあまりありません。むしろ反抗期に差し掛かり、何を言っても反発されるよりは、よほど受験に向いていそうです。

ざっくり大まかに幼い子にありがちな特徴・性格といっても、そのなかでプラスに働くものとマイナスに働くものがあるのです。

今回は、中学受験に向いていない性格と、その性格を変えるヒントについてお伝えします。まだ低学年のお子さんであれば、中学受験を始めるか・やめておくか、すでに始めているお子さんであれば、続けるか・撤退するかの判断基準にしてみてください。

性格1.誠実性=勤勉性や自制心が低い

「ビッグファイブ」といって、人間の性格を5つの基本的な因子で説明しようとする心理学の理論があります。この特性によると、人の性格は、「外向性」「誠実性」「調和性」「開放性」「神経質的傾向」の5つの因子から成り立つとされています。

このビッグファイブ性格特性のうちの「誠実性」といわれる特性、「勤勉性」や「自制心」とも呼ばれるものが低い子どもは、やはり中学受験に向いていません。

遊びたい気持ちを我慢して、日々コツコツ勉強を継続する力がある子の方が受験ではよい成果をあげられます。

「我慢ができない」「すぐ遊びたい欲求に飛びつく」といった幼さが目立つようであれば、中学受験には向いていない可能性が高いでしょう。

性格2.開放性=知的好奇心が低い

ビッグファイブ性格特性のうち「開放性」といわれる特性、いわゆる「知的好奇心」が低い子は、あまり中学受験に向いていない可能性があります。

何ごとにも興味・関心を持って学べる子は勉強を楽しめるため、学んだことが記憶にも残りやすいですし、たくさんの勉強も苦になりにくいものです。

また、開放性が高い子の方がIQが高くなる傾向もあり、勉強が得意になりやすいことも知られています。好奇心を持っていろいろなことを考えたり調べたり実践したりすることでIQが高まり、その結果、さらに好奇心が高まるという双方向の影響があるそうです。

ですから、開放性が低い子は中学受験では不利になるでしょう。

性格3.将来の目標がなく、受験の目的意識もない

中学受験で合格するためには、他の子に勝つ必要があります。ライバルたちだって頑張っているなかで、その子たちに勝利して合格するためには、人一倍の努力が必要です。

コツコツ取り組める性格でも、知的好奇心が高くても、ときにつらいこともあるでしょう。そんなときに、将来の目標や志望校への熱い思いなどがあると、その大変な山を乗り越える後押しになります。

未来のことを考えて、目的意識や目標を持ちワクワクすることが苦手な子は、中学受験に向いていないかもしれません。

性格4.自信や精神的なタフさがない

人間は、「失敗」したときがもっとも学べる瞬間です。成長を加速させるためには、たくさんの失敗をしてそこから学ぶ必要があります。

しかし自分に自信がない子は、失敗して傷つくことを恐れてチャレンジができなかったり、失敗を受け入れられずに目を背けたりするため、成長が遅くなります。

ですから、自信や精神的なタフさがない子は、中学受験で他の子と競争することには向いていません。

性格5.向上心がない

「よりよい自分になりたい」という成長欲求は、成長の原動力です。これが低い子は、やはり成長が遅くなります。ですから、向上心がない子は、中学受験で他の子と競争することには向いていないでしょう。

なお「向上心」と「競争心」は違うため、注意をしてください。「向上心」は、よりよい自分になりたいという気持ち。「競争心」は、相手に勝ちたいという気持ちです。

そして競争心は、成績上位の子にとってはプラスに働くことが多いですが、成績下位の子にとってはマイナスに働くことが多いです。

競争心がある子が成績で勝てないとなったとき、勝てる相手と戦う、勝てる競技で戦うといった行動に走る場合がほとんどだからです。自分よりもできない人間を見下して安心するとか、勉強では勝てないからゲームの世界に逃げるといった行動が典型です。勝つために努力するよりも、その方が楽ですからね。

ですから、競争心があった方がよいかどうかは、お子さんの能力次第で、ない方がむしろよい場合も多いです。競争心よりも、向上心を持てるようにしていきましょう。

「習慣」から性格を変えていく

以上、中学受験に向いていない5つの性格でした。では、もしわが子が中学受験に不向きと分かったら、どのようにすればよいのでしょうか?

まず大事なことは、「それもわが子の個性」と受け入れることです。親子とはいえ、子どもは他人です。他人を思い通りにコントロールすることはできません。「お前の性格はダメだ」と変わることを強要すれば、子どもの自己肯定感を傷つけてしまうので注意してください。

人は、ありのままの自分を受け入れられたときに、初めて自分を変えることができます。変わりたいと思う気持ちは大事なのですが、今の自分を否定するような気持ちがあれば、変われないのです。

ですから、お子さん本人が自分をありのまま受け入れられるのを手伝うために、まずは親御さんがありのままの子どもを受け入れることから始める必要があります。

そして、本人が今の自分を受け入れたうえで、理想の自分になるために自分を変えていこうと決めたら、そのための方法を教えてあげましょう。

その方法というのが「習慣化の技術」です。「習い性となる」と昔からいわれるように、習慣は、ついにはその人の生まれつきの性質のようになります。自分の性格をこういうふうに変えようと決めたら、その性格にふさわしい行動は何かを考えて、その行動を習慣化すればよいのです。実際に研究でも、15~16週間の習慣化プログラムで、性格に変化が確認されました(*)。

もし「知的好奇心」を高めたいと思ったら、「好奇心が強い人にふさわしい行動」を考えて、それを習慣にしていくということです。例えば「気になることがあったら、後回しにしないですぐに調べる」とか、「分からないことがあったら、分かるまで掘り下げて調べる」など、どう行動したらよいか考えてみましょう。その行動を習慣にして継続していけば、知的好奇心が強い人になっていくのです。

こうした「○○な人にふさわしい行動」を考えるときに、理想のモデルとなる人を設定すると、子どもにとってもイメージしやすくなりますよ。例えば、「こんなとき藤井聡太さんだったら、どうするだろう?」「こんなとき大谷翔平さんだったら、どうするだろう?」といった具合です。

子どもにとってあこがれの人だったら、「きっと気になる手があったらとことん研究するだろうな」「疲れていても毎日練習するだろうな」というように、どんな行動をしているか想像しやすいですよね。その理想の人がしている行動をまねするようにしていきましょう。

と、言うのは簡単ですが、実践することはそれなりに大変で、三日坊主に終わることもあるでしょう。もしやってみて続けられなかったら、習慣化の技術について本で読んだりしてくわしく学んでみてください。

続けることが段違いに楽になるはずです。もし中学受験に向いていない性格だとしても、それであきらめる必要はありません。

習慣から性格を変えていきましょう。
 
この記事の執筆者:菊池洋匡
中学受験専門塾 伸学会代表。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。算数オリンピック銀メダリスト。子どもたちの成績を上げるだけでなく、勉強を楽しむ気持ちや困難を乗り越え成長していくマインドを育てる方法を確立。生徒と保護者に「勉強には正しいやり方がある」ということを一貫して伝え続ける。
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