他国にはない! ヘルシーと芸術性が共存する「和菓子」
というのも、ヨーロッパのお菓子類はケーキ、クッキー、ワッフル、チョコレートにアイスクリームなど乳脂肪や油をたっぷりと使用したものが大半で、逆に言うとこれらを含まないものを探す方が難しいほどなのです。
それに比べ、日本では饅頭をはじめ、ところてんやわらび餅、羊羹、団子など、油分の含まれているものは少なく、カロリーを抑えつつ味わいや食感を存分に楽しめるものが豊富に見受けられます。
こと上生菓子に関しては、季節の風物を美しい色彩とフォルムで見事に表現するさまが、まさに洗練の極致。ヨーロッパでも旬の素材を意匠に取り入れたかわいらしいスイーツはあれど、和菓子ほど繊細で雅趣に富んだものは類を見ません。
ハプスブルク帝室御用達菓子店として知られるウィーンの「デメル」でパティシエをしていた友人に和菓子類の写真を見せたところ、あまりの風流さに「その写真を送って!」と何度も懇願されたことがあります。
ヨーロッパ菓子界隈の第一人者をもとりこにする和菓子は、大変魅力が深いのだと言えるでしょう。
痒いところに手が届く「便利グッズ」
日本国内で長らく市民権を得ていてもいまだヨーロッパで珍しいものといえば、貼るカイロや携帯扇風機などですが、この他にも翻訳機能付きフェイスマスク、携帯用音姫、エアコン内蔵の衣類など、単純に便利なものから抱腹絶倒の奇抜なアイデア商品まで、その独特の発想は外国人の度肝を抜くようです。
とりわけ100円ショップは「安くて使える」便利グッズの宝庫で、筆者が欧州系エアラインに勤めていた頃には、日本にフライトをするたびに外国人クルーたちが目の色を変えて駆け込み、山のように商品を買いあさっていたのが忘れられません。
物乞いフリーの「街並み」
しかしヨーロッパでは一転して、どこの国でもこうした行為を日常的に目にします。
コップを片手に通行人に声をかけ続けたり、両手を差し出しながら地面にはいつくばったり、小動物や子どもを伴って現れたり、身体障害を前面に押し出して憐憫(れんびん)を誘ったりするのが一般的です。
中には、人の腕を痛いほど突いてきたり、信号待ちをする車の窓から手を差し込んできたりと、日本人なら怯んでしまうようなアグレッシブな物乞いも国によっては存在します。
貧しい人や持たざる者に施しをするのはキリスト教の信念が深く根差したヨーロッパでは普通の行為ですが、日本人にとっては物乞いからの執拗(しつよう)なアプローチはどうしても不安を感じることもあるでしょう。
実は「安心して歩ける」街であること、それだけでも日本の大きな魅力の1つと言えるでしょう。
この記事の筆者:ライジンガー 真樹
元CAのスイス在住ライター。日本人にとっては不可思議に映る外国人の言動や、海外から見ると実は面白い国ニッポンにフォーカスしたカルチャーショック解説を中心に執筆。All About「オーストリア」ガイド。