長谷川博己さんが主演を務めるドラマ『アンチヒーロー』(TBS系)が、4月14日より放送スタートしました。一大ブームを起こしたTBS日曜劇場『VIVANT』(2023年)同様、放送直前までキャスト以外の情報がほとんど公開されていなかった本作。
長谷川さん演じる“アンチ”な弁護士は正義か悪か――? キャッチコピーで示された問いがそのまま心に浮かんだ第1話。ストーリーをおさらいしつつ、SNSで話題のコメントとともに今後の見どころを紹介します。
第1話のあらすじ
明墨法律事務所の弁護士・明墨正樹(長谷川博己)は、町工場社長殺害の被疑者・緋山啓太(岩田剛典)の弁護を請け負うことに。緋山は社長からパワハラを受けており、恨みが爆発して殺害したというのが検察側の見立て。
明墨は緋山に接見すると、殺人犯とその恋人や家族がたどる悲惨な末路をとつとつと語り、「私ならあなたを無罪にしてさしあげられる」と豪語。姫野検事(馬場徹)が提出した証拠を握りつぶすべく、事務所の若手弁護士・紫ノ宮飛鳥(堀田真由)、新人弁護士・赤峰柊斗(北村匠海)とともに奔走します。
決定的な証拠となる凶器や返り血を浴びたジャンパーが出てきていない以上、無罪に持っていく可能性は残されていると明墨。被害者の妻・羽木春子(馬淵英里何)の弱みを突いて5歳の息子を証人として立たせるなど、強引な手法で突き進みます。5歳の子どもの証言は果たして事実として正しかったのか、正義と悪の間で心の揺れを見せる紫ノ宮。
一方、明墨は赤峰に第一発見者の尾形仁史(一ノ瀬ワタル)を尾行させます。尾形が雑踏の中で会話が聞き取りにくい難聴障害を患っていることを突き止め、作業音の多い工場において尾形が“聞いた”被害者と緋山の口論の不確実性を指摘。法廷で病気のことを暴露された尾形は激高するも、明墨は「勝つためなら何でもやる」と一蹴。検察側の用意した証言に裁判官や裁判員たちは疑惑を生じさせます。しかし、姫野検事は“ずっと見つからなかった”凶器を新たに証拠として提出すると申し出て――。
まさに“アンチ”ヒーローな長谷川博己に痺れる
これまでのリーガルドラマでは、勝つためには手段を選ばないダークヒーローといっても、真実を捻じ曲げることはしなかったのが定石だったように思います。しかし本作の主人公・明墨正樹は明らかに“アンチ”ヒーロー。1話ラストでは緋山が殺害を認めているようにも見受けられ、事実を捻じ曲げて殺人犯を無罪にするヴィラン的な弁護士であることが示されました。
そんな明墨の元で働く紫ノ宮や赤峰といった若手弁護士が、この先、正義と悪の間で思い悩んでいくであろうことは予想に難くありません。明墨がなぜ“アンチ”な弁護士になったのかもさることながら、紫ノ宮や赤峰の過去にも興味がそそられます。また、敵対する検察側の人物として登場した検事正の伊達原泰輔(野村萬斎)、検察官の緑川歩佳(木村佳乃)が、明墨とどんな因縁を持っているのか気になるところ。
X(旧Twitter)では、「こういう役の長谷川博己、大好物」「主役が悪ーい顔して最強無敵なの最高すぎる」「悪い時の悪い長谷川博己と狂言師みたいな怖い野村萬斎の対比演出痺れた」「ありきたりでも出演者と雰囲気でいいドラマとして成立しちゃう感じじゃなくて、え?マジでこれどーなんのよ!?をしっかり出してくれる辺りが良い」「キャストそれぞれのバックボーンもありそうで楽しみ」などの期待コメントが続出しています。
第2話では、新証拠に公判が揺れる一方、明墨は過去の殺人事件の裁判記録を調べ上げ、ある仮説を立てます。一方、弁護士としての正義に揺れる赤峰は拘置所の緋山に会いに行き――。緋山は本当に無実なのか、それとも……? 正しいことが“正義”なのか、間違ったことが“悪”なのか。そもそも正義と悪とは何なのか考えさせられそうな展開に注目です。
この記事の筆者:地子給 奈穂
編集・ライター歴17年。マンガ、小説、雑誌等の編集を経てフリーライターに転向後、グルメ、観光、ドラマレビューを中心に取材・執筆の傍ら、飲食企業のWeb戦略コンサルティングも行う。