「返信不要」は、相手からの返事がいらないときにメールの末尾につける言葉です。便利に使える単語ではあるものの、取引先や目上の人に使って良いのか、心配な人もいるでしょう。また自分宛のメールに返信不要と記載があった場合、どのように対処すれば良いのか迷ってしまうことがあるかもしれません。
本記事では「返信不要」を使うときの注意点や言い換え表現、例文などを現役フリーアナウンサーの新保友映が解説します。
<目次>
・「返信不要」はビジネスメールにおいて失礼になることもある
・「返信不要」の敬語・言い換え表現
・「返信不要」を使う際のポイント
・「返信不要」を使う主な場面とは
・「返信不要」と書いてあった場合はメールの返信をしなくて良い?
・「返信不要」メールへの返し方
・まとめ
「返信不要」はビジネスメールにおいて失礼になることもある
返信不要(へんしんふよう)は、メールの送信時に付け加える言葉として使用されることが多くあります。言葉のままですが「返信しなくていいですよ」という気持ちを端的に伝える単語です。ただし、ビジネスシーンで用いる際は以下のポイントを把握しておきましょう。・「返信不要」は事務的で冷たい印象を持たれることもある
返信不要は、相手を気遣う際に使われますが、シーンによっては冷たい印象を与えてしまうことがあります。ビジネスメールでは通常、記号や絵文字などを使用しないため、どうしてもややドライな文面になりがちです。文末に「返信不要」と記載してあると、距離感が遠い事務的な文面だと感じる人がいるようです。
・目上の人や取引先とのメールでは言い換え表現を使うのがベター
相手との関係によっては、返信不要を使わないほうが良いこともあります。目上の人や取引先、顧客などに向けたメールでの使用は避けておきましょう。返信がいらないことを伝えたいときは、以下で紹介する言い換え表現を用いてください。
・クッション言葉を使うとさらに丁寧になる
返信不要の単語だけではなく、クッション言葉を合わせることでやわらかい印象になります。相手に不快感を与えないよう、文面に配慮したメールを送りましょう。※クッション言葉とは「もしよければ」「差し支えなければ」など、冒頭にひとこと付け加える際に使う単語です。
「返信不要」の敬語・言い換え表現
返信不要を丁寧に伝えるための言い換え表現を6つ紹介します。複数のパターンを覚えておくとビジネスシーンで役立つでしょう。・言い換え(1)返信不要でございます
「~でございます」は「~である」の丁寧語です。「返信不要でございます」は「返信不要」を敬語表現にした場合、もっともシンプルな言い換え表現です。
・言い換え(2)ご返信は無用です
「無用(むよう)」とは「不要/いらない」を丁寧に表した単語です。「返信はいりません」だと話し言葉になってしまうため、代わりに「無用」を使うことがおすすめです。
・言い換え(3)ご返信にはお気遣いなく
返信不要のみだと冷たい感じがする場合は「お気遣いなく」と添えるのもおすすめです。相手に寄り添う表現のため、温かみを感じられます。
・言い換え(4)ご返信にはおよびません
「~におよばない」とは「~必要がない」という意味です。「およびません」を使うことで、より丁寧な印象を与えられます。
・言い換え(5)ご返信いただかなくても結構です
「結構です」には、不要・いらない・満足・十分など複数の意味が含まれます。肯定と否定、両方の意味があるため、場合によっては伝わりにくいことがあるかもしれません。言い換えとして使用することは可能ですが「無用」や「およびません」のほうがシンプルに伝わるでしょう。
・言い換え(6)ご返信いただかなくても差し支えありません
「差し支えない」とは「支障がない」という意味です。メールの返信が「いらない」というよりも「なくても大丈夫」という意味合いが強くなります。返信しても・しなくても、どちらでも良い、と捉えられるかもしれません。
「返信不要」を使う際のポイント
返信不要を、言い換えせずにそのまま使用する際のポイントは以下の2点です。メールの文面で誤解を与えないよう、返信不要の使い方には配慮しましょう。・クッション言葉を用いる
前述のとおり、クッション言葉とは文章に添えるひとことです。文脈に合わせたクッション言葉を取り入れることで、文章全体がやわらかくなります。
・気を遣わせそうな場合はあえて「返信不要」は使わない
返信不要と記載することで、逆に気を遣わせてしまうこともあります。相手との関係性によっては、あえて使わないこと自体が、気遣いとなることもあるでしょう。
「返信不要」を使う主な場面とは
ここでは、返信不要を使うタイミングを解説します。テンプレート的に毎回送るのではなく、相手に負担をかけたくない場合のみに使用するようにしてください。・メールで連絡事項のみ伝える場合
社内の同僚や他部署の人とやりとりする際に、返信不要を使用できます。端的な連絡事項であり返事がいらない際に、返信不要を用いましょう。無駄を省くことは、互いの業務効率化にも役立ちます。
・就職活動で面接のお礼メールを送る場合
相手のところに多くのメールが届いていると予想される場合、返信不要を使うと効果的です。就職活動のお礼メールは、人事担当者に多数届いているはずなので1件ずつ返信できないケースもあります。このような状況が予測されるなかで、お礼だけ伝えたい場合は、末尾に返信不要である旨を記載しておきましょう。
「返信不要」と書いてあった場合はメールの返信をしなくて良い?
自分が受け取り手になった場合はどのように対処すれば良いでしょうか。「返事はいらない」と書いてあるけれど、実際どのように対応すれば良いのか迷う人は多くいます。ここでは2つの対処法を紹介します。・基本的には返信を返さなくても良い
返信不要と記載があれば、原則として返信する必要はありません。人によっては「返信不要と書いたのに、返信メールが届いて不快」と感じる人もいます。言葉のとおり受け取って、返信はしなくて良いでしょう。
・簡潔な一言を送り返すのがベター
原則として返信は不要ですが、相手が気遣いで「不要」と言ってくれていることが分かるときは、ひとことだけお礼などを送り返しても問題ありません。なかには「メールのやりとりは、最初に発信した側が締める」といった考えを持っている人もいるため、最後を自分で終わらせたいケースもあるかもしれません。やりとりの相手によっては、簡潔なひとことを返信しておいたほうが良いでしょう。
「返信不要」メールへの返し方
返信不要と記載のあるメールに、ひとことだけ返信する場合は以下の例文を参考にしてください。どうしても伝えたいことがない限りは、できるだけ簡潔に終えることを心がけましょう。・例文(1)簡潔なあいさつのみを返信する
「返信不要とのお気遣いありがとうございます。進捗(しんちょく)状況は月末に再度、ご連絡いたします」
・例文(2)簡潔な感謝の言葉を添えて返信する
「返信不要とのお気遣いありがとうございます。このたびは弊社サービスをご利用いただき、ありがとうございました。お礼だけお伝えさせてください。今後ともよろしくお願いいたします」
・例文(3)確認したという事実を伝える
「添付資料を確認いたしました。返信不要とのお気遣い、ありがとうございました」
「メールの返信についてお気遣いいただき、ありがとうございます。内容確認いたしました」
まとめ
返信不要は幅広いシーンで使用できる言葉です。言い換え表現も複数あるため、覚えておくと便利でしょう。冷たい印象を持たれないように、前後の文脈にも配慮した文章にすることがおすすめです。自分が返信不要のメールを受け取ったときは、相手の性格や関係性に合わせた方法で対処しましょう。■執筆者プロフィール 新保 友映(しんぼ ともえ)
山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、2003年にアナウンサーとしてニッポン放送に入社。『オールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティをはじめ、『ニッポン放送ショウアップナイター』やニュース情報番組、音楽番組など担当。2018年ニッポン放送退社後はフリーアナウンサーとして、ラジオにとどまらず、各種司会、トークショーMC、YouTube、Podcast、話し方講師など幅広く活動。科学でいじめのない世界をつくる「BE A HEROプロジェクト」特任研究員として、子どもたちの授業や大人向け講座の講師も担当している。