英紙ガーディアンは、この結果について「予想外」とし、イギリスの若者の4人に1人が「女性よりも男性であることのほうが難しいと考えている」と報じました。
世界各地で20代男性の保守化が進んでいる?
また国際的な世論調査機関「イプソス」の世論調査では、「性の平等が過度に促進されたことで、男性が差別を受けている」と考える男性の割合は、団塊世代からX世代、ミレニアル世代、Z世代まで43%→53%→57%→60%と拡大し、「逆差別」を感じる男性の割合はZ世代が60%で最も高いとしています。調査対象が先進7カ国や韓国、インドなど31カ国の成人(18歳以上)男女2万4269人であることからも、一部の国と地域に限らず世界各地で20代男性の「保守化現象」が進んでいると言えそうです。
その背景には、女性への不公平感や恐れがあり、結果的に恋愛やコミュニケーションを避けたがる傾向は婚活現場においても実感があります。
「失われた30年」で女性の権利は向上、男性の権利は?
筆者がアパレルの人材派遣会社を設立したのは約30年前。その後、リーマンショックを期に事業転換をして結婚相談業を始めました。その間、日本経済は失われた30年を経て今に至り、日本は先進国で唯一「賃金が上がらない国」となっています。そこで起こったのが「男社会」の崩壊です。
経済の停滞や労働力不足で女性の社会進出を推し進めてきたものの社会のほうが対応できず、どんどん不具合が出てきました。人は環境や価値観を変えずに済むほうを選びます。もともと権力を持つ側にいた男性は、よくも悪くも変わらない、もしくは変わる必要がなく「保守化」がデフォルトになってしまいやすいもの。持てる者ほど手放したがらず、保守しようとするのは当然でしょう。
日本人女性の権利獲得は今なお世界に大きく遅れをとっていて、大企業をはじめ組織の中は依然として男社会です。男性と肩を並べて社会的地位をつかみ取る先進的な女性たちによって女性全体の底上げが進んできたように、社会や組織の在り方が少しずつ変化しはじめている現在。まさに過渡期と言えます。変化の波が個人から組織へ拡がりつつあるからこそ、揺り戻しが起こっています。
もう1つ、女性側が持っている「保守的なジェンダー観」にも、男性が生きづらさを感じるポイントが内包されています。