フォーリーブスのおりも政夫さんが急性虫垂炎のため開腹手術を受けたことが26日、わかったとオリコンなどが報じている。自宅で体調不良を訴え、その後都内の病院に緊急搬送されていたという。

 

虫垂炎は一般的に「盲腸」といわれ、以前は手術の対象になることが多かったものの、最近では薬での治療も増えてきている。おりも政夫さんは手術することになったが、どのような場合、虫垂炎の手術が必要になるのだろうか。虫垂炎とはどのようなものなのだろうか。日本消化器病学会専門医の今村甲彦氏がAll Aboutで以下のように解説している。

 

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虫垂とは

今村氏によると、虫垂の場所は右下腹部にあり、大腸の一部で盲腸からぶら下がっており、長さは5~10cm、太さは0.5~1cmほどという。まるで芋虫がぶら下がっているよう形なので、「虫様突起」もしくは「虫垂」と呼ばれるという。盲腸は小腸と大腸の移行部にある袋状の部分を指す。

虫垂の位置
虫垂は盲腸からぶら下がっている

虫垂にはリンパ球がたくさん集合しているリンパ小節がたくさんあり、最近では免疫に関与する働きが注目されてきていると、今村氏は説明する。

 

虫垂炎とは

今村氏によると、虫垂が感染して化膿性炎症を起こした場合を虫垂炎という。急性虫垂炎は、手術の対象となる腹部救急疾患の中で最も頻度の高い疾患の一つ。7%の人が一生の間に発症する可能性があり、10~30歳に多くみられ、男女差はないと今村氏は説明する。

  

虫垂炎の原因

原因は、細菌説、アレルギー説、ウイルス説などがあるが、明確ではない。虫垂の中に便の塊(糞石)などが詰まったり、リンパ濾胞の増生などにより、虫垂根部が狭窄または閉塞して感染を起こすことで虫垂炎を発症すると考えられているという。

  

虫垂炎の症状

胃やへその周りが痛んでいたのが、徐々に右下腹部へ移動する「疼痛の移動」が有名。消化管の収縮、伸展、けいれん、拡張などによって起こる内臓痛は、痛みの部位が明確でなく、胃やへその周りを中心としたお腹全体になるという。お腹全体の鈍痛(内臓痛)から炎症が腹膜まで波及すると、右下腹部の限局性の鋭利な痛み(体性痛)へと変化する。吐き気や嘔吐、発熱などの症状も多いという。

 

虫垂は炎症を起こして急性虫垂炎となった際に適切な処置をしないと、腹膜炎や敗血症など重篤な合併症を起こすことがある。

  

虫垂炎の検査

虫垂炎の検査には以下のようなものがあると今村氏は解説する。

  • 血液検査:炎症を起こしているので白血球やCRPなどの炎症所見が高くなる
  • 腹部X腺検査:盲腸付近に限局した小腸ガスを認めることがある
  • 超音波検査:腫大した虫垂や壁の肥厚を描出できれば診断が可能。糞石や腹水の有無なども確認する
  • 腹部CT検査:腫大した虫垂や糞石の有無などを確認する。また、虫垂炎以外の疾患を鑑別するのにも有用

 

虫垂炎の診断

大腸憩室炎、腸炎、付属器炎、骨盤腹膜炎、卵巣腫瘍、卵巣出血などと見分けるのが難しいという。また、高齢者、小児、妊婦などは、症状が典型的ではないことがあり注意が必要だと今村氏は説明する。

 

  • 高齢者の虫垂炎:高齢者は全体的に感覚が鈍くなっているので、発見が遅れ、発見された時には重篤な状態になっている場合がある
  • 小児の虫垂炎:訴えがあいまいで、腹部所見も典型的でないことが多い。進行が早く虫垂の壁が薄いため、穿孔が起こりやすいとされる。また、腹膜炎が広がりやすいという特徴もある
  • 妊婦の虫垂炎:子宮が増大するにつれて、虫垂の位置も右上に持ち上げられる。虫垂の位置が通常と異なるため、診断が遅れることがある

 

虫垂炎の治療

かつては腹部身体所見、白血球数、腹部X線所見で虫垂炎と診断され、即開腹手術になることもあったが、現在では軽度虫垂炎は抗菌薬で保存的に治療されることが多く、外科的手術の適応はより厳密となっていると今村氏は説明する。

 

腹膜に炎症などの異常がおきていない(腹膜刺激症状のない)ものや、炎症が粘膜に限定しているカタル性虫垂炎では抗菌薬で治療する。改善しない場合や炎症が波及している場合は手術するという。

 

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