(今回のケース)
ドラッグストアで市販薬を購入しました。医療費控除の対象になりますか?セルフメディケーション税制という方法もあると聞いたのですが……
(回答)
ドラッグストアなどで購入した市販薬であっても、治療に必要なものは医療費控除の対象になります。また医療用医薬品から転用した市販薬(スイッチOTC薬)を購入した場合の特例にセルフメディケーション税制があり、医療費控除かセルフメディケーション税制のどちらかを選んで控除を受けることができます。
治療や療養に必要な薬が対象。栄養ドリンクなどは対象外
ドラッグストアなどで購入した市販薬でも医療費控除の対象となります。ですが、条件があり、風邪薬や頭痛薬、胃薬など、治療や療養に必要な薬であれば対象ですが、健康増進のための栄養ドリンクやサプリメントは含まれません。また、医療費控除の特例にセルフメディケーション税制があります。これは、予防接種や健康診断の受診など、健康のための一定の取組を行っている人が、市販薬の中でもスイッチOTC薬(医療用から転用された市販薬)を購入した際に受けられる所得控除のことです。セルフメディケーション税制の対象となる商品には、箱や領収書等にセルフメディケーション税制の対象商品である旨が表示されています。セルフメディケーション税制で受けられる控除額は、対象となる市販薬の購入費合計額(保険金などで補填(ほてん)される部分を除いた額)から1万2000円を差し引いた金額(最高8万8000円)です。
医療費控除とセルフメディケーション税制の両方を受けることはできない
セルフメディケーション税制と医療費控除は併用はできず、どちらかを選ぶ必要があります。セルフメディケーション税制を受けるには確定申告が必要であり、申告の際には「セルフメディケーション税制の明細書」を作成し提出する必要があります。なお領収書の提出は不要ですが、申告から5年間は税務署から領収書の提示または提出が求められる場合があるため、大切に保管しておいてください。
また適用を受けようとする年に予防接種、健康診断、特定検診(いわゆるメタボ検診)、がん検診など、健康の保持や疾病の予防のための取り組みを行ったことを証明する書類についても、令和4年以降は提出不要となりました。ですが、こちらも申告から5年間は税務署から提示または提出を求められる場合があるため、大切に保管しておきましょう。
この記事の筆者:川手 康義
元製薬企業MR(医薬情報担当者)のCFP・1級FP技能士。日本ファイナンシャルプランナーズ協会に所属しており、協会会員向けの研修会や一般の方へのセミナーの企画・運営に携わっている。
元製薬企業MR(医薬情報担当者)のCFP・1級FP技能士。日本ファイナンシャルプランナーズ協会に所属しており、協会会員向けの研修会や一般の方へのセミナーの企画・運営に携わっている。