「All About」白物・美容家電ガイドの田中真紀子が回答します。
(今回の質問)
暖房を1日中つけっぱなしにすると、電気代はいくらになりますか?
(回答)
ダイキンが2017年に行った実験によれば、24時間つけっぱなしの場合、消費電力量が12.7kWh(「うるさら7 RXシリーズ」 S40VTRXS-W 4.0kWを使用)。電気代にすると約394円です(目安単価31円の場合)。また、30分程度の外出なら、つけっぱなしでOK。条件によっては24時間つけっぱなしでも電気代は大差ありません。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
短時間の外出ならつけっぱなしでOK
かつては、少しでも部屋を離れるときはエアコンをこまめに切っていた人も多いと思いますが、最近は短時間の外出なら、つけっぱなしの方が節電になることが分かってきました。というのも、エアコンは運転を開始した直後にもっとも電力を使い、室温が安定すると少ない電力でその温度を維持しているからです。もしオンオフを繰り返すと、電力使用のピークを何度も迎えることになり、その頻度が多いとつけっぱなしより電気代がかかってしまう可能性もあるのです。
これは自転車をこぐときに必要な力に例えられます。自転車もこぎ始めはグッと力を入れますが、スピードが安定してくると軽い力で走り出すようになります。これは、サイクルロードを走っているときは、この安定した状態が続くので疲れにくいのに対し、信号が多い道路では、信号などで止まるたびに力を入れてこぎ始めなければならず、同じ距離の走行でも体力を使ってしまうイメージです。
とはいえ、何時間も出かけるときはさすがに消した方がいいのでは、と迷ってしまいますよね。結論としては「30分程度ならつけっぱなしの方が節電になる」可能性が高くなります。ダイキンが2017年に行った実験によると、日中(6~18時)に30分から1時間の外出を5回繰り返した場合は、つけっぱなしの方が消費電力量が小さくなりました。
ただし夜間(18~23時)に2時間程度外出する場合などは、オフにした方が消費電力量が小さくなりますので、外気温が下がる夜間や外出時間が長くなる場合は、オフにした方がよさそうです。
「つけっぱなし」と「こまめにオンオフ」は大差なし?
ダイキンが同年に実施した別の実験によれば、24時間つけっぱなしにした場合、消費電力量が12.7kWhとなり、電気代は約394円(※目安単価31円の場合)になるとのことでした。ですが、同社によればこまめにオンオフした場合の消費電力量は11.6kWhで、約360円(※目安単価31円の場合)であったとのこと。興味深いことに、その差はあまり大きくなかったのです。
これは、つけっぱなしにすると天井や床、壁など建物の躯体にも蓄熱され、少ない電力でも室温を維持できるため。逆に長時間オフにすると、躯体も冷え切ってしまい、設定温度まで上げるのに多くの電力を使ってしまうためと考えられます。同様に、頻繁にオンオフを繰り返した場合も、躯体が十分にあたたまらないので多くの電力が必要になります。
つまり、条件によっては、こまめにオンオフしても大きな節電につながらず、逆につけっぱなしより電気代が高くなる可能性もあるということ。もちろん「日中は仕事や学校で誰も家にいない」という日はオフにした方が節電になりますが、日中も家にいる時間が長い日は、つけっぱなしにした方が効率的で快適性も持続します。迷ったときは、外出時間と頻度、さらに時間帯も考慮しながら、適宜検討してみるとよさそうです。
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白物家電、美容家電の専門家兼ライターとして活躍。日々発売される新製品をチェックし、製品の紹介記事やレビュー記事を雑誌やWeb、新聞などで紹介している。日常的にも話題の新製品を使うことで、ライフスタイルに合わせた選び方や、上手な採り入れ方の提案も行っており、テレビ出演も多数。