そんな「急速充電」について、携帯電話・スマートフォンの専門家で「All About」ガイドの佐野正弘が解説します。
(今回の質問)
急速充電だと充電しすぎないか心配です。バッテリーの劣化につながりますか?
(回答)
メーカーが指定する機器を使って急速充電をする分には、大幅な劣化が起きる可能性は低いのであまり心配する必要はありません。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
バッテリーの大型化により急速充電対応のスマホが登場
スマートフォンのバッテリーは年々大型化が進んでおり、かつては2000mAh程度だったのが、現在では倍以上の5000mAhを搭載する機種が当たり前になってきています。そしてバッテリーの容量が増えればスマートフォンをより長く利用できるというメリットが生まれる一方、充電に時間がかかってしまうというデメリットも生じてしまいます。そこで最近増えているのが、急速充電に対応したスマートフォンです。その充電速度も年々高速化が進んでおり、最近ではXiaomi Japanの「Xiaomi 13T Pro」のように、5000mAhのバッテリーを19分で1%から100%まで充電できるという、驚異的な急速充電機能を備えたスマートフォンも登場しています。
急速充電は短時間でスマートフォンをフルに充電できるので、時間がないときの充電などで大きなメリットがあるのは確かです。一方で多くの人が気にしているのは、それだけ急速に充電されるとバッテリーに負荷がかかり、寿命が短くなってしまうのでは? ということではないでしょうか。
専用の充電器やケーブルの使用により、バッテリー劣化を防げる
急速充電は、通常より大きな電力を充電器からスマートフォンに供給することで充電スピードを早めており、確かにバッテリーにかかる負荷が大きくなるように感じてしまうかもしれません。一般的なスマートフォンの充電器は出力が5W程度ですが、急速充電に対応する充電器の出力は20~45Wと大きく、最近では100Wを超えるものも出てきていることから、年々出力が大きくなっていることは確かです。ですが急速充電に対応したスマートフォンは、バッテリー容量が少ない段階ではフル出力で充電をするものの、バッテリーの容量が100%に近づくにつれ出力を落とすなどして、負荷をかけないよう充電する仕組みが整えられているのです。また超高速の急速充電に対応するスマートフォンは、充電器やケーブルまで専用のものを用い、バッテリーを2つに分割して電力供給を分散するなど、さまざまな技術を導入して負荷をかけないようにしています。
そうしたことから急速充電に対応するスマートフォンと、それに対応する適切な充電器、ケーブルを使って急速充電する分には、バッテリーの大幅な劣化が起きる可能性は非常に低く、心配の必要はないといえるでしょう。より万全を期したいというのであれば、急速充電対応の充電器を選ぶ際にメーカー推奨のものを選ぶのがよいでしょう。
この記事の筆者:佐野 正弘
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手掛けた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在は業界動向から、スマートフォン、アプリ、カルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手掛ける。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手掛けた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在は業界動向から、スマートフォン、アプリ、カルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手掛ける。