そんな「モバイルバッテリー」について、携帯電話・スマートフォンの専門家で「All About」ガイドの佐野正弘が解説します。
(今回の質問)
モバイルバッテリーが膨らんできた気がします。使い続けたら危険ですか?
(回答)
バッテリーが膨らんだまま使い続けるのは危険です。破棄して新しいものに買い替えましょう。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
寿命の見極めは「形状」と「使い勝手」の変化
スマートフォンのバッテリーが少ない、切れてしまったというときの予備として、持ち歩いている人も多いモバイルバッテリー。現在ではコンパクトでおしゃれなものや、大容量でスマートフォンを複数回充電できるものなど、非常に幅広い種類のモバイルバッテリーが提供されています。ですがモバイルバッテリーもスマートフォンのバッテリーと同様、リチウムイオンが用いられているものがほとんどなので、使い続けることによって寿命が来ることは避けられません。あくまで消耗品であることを前提に利用する心がけが必要です。
モバイルバッテリーが劣化する原因はスマートフォンと同じで、最も大きく影響するのは充電回数。ですので何度も充電しては消費し、充電しては消費し……を繰り返していくと、蓄電容量が減少しあまり充電できなくなってしまいます。ほかにも衝撃を与えたり、暑すぎる、あるいは寒すぎる環境で使っていると劣化が進み、問題が生じてしまいます。
そうしたことからある程度劣化が進み、寿命が来たら買い替えるべきなのですが、問題はそのタイミングの見極め方でしょう。スマートフォンの場合、機種によってはバッテリーの状態を確認できることからある程度交換の目安がつくのですが、モバイルバッテリーの場合、現在の状態を確認する術がありません。
そこで判断材料となる1つが、形状の変化です。劣化によりバッテリーが膨らんでしまったり、傷や衝撃などで本体がへこんでしまったりした場合は、そもそも使い続けるのが危険なので直ちに買い替える必要があります。
そしてもう1つの判断材料が、使い勝手の変化です。モバイルバッテリーの持ちが悪くなった、充電に時間がかかる、あまり充電できない……など、従来通り使えなくなったと感じた場合、それはバッテリー自体の劣化が進んでいるサインですので買い替えるべきです。
一般ごみとして捨てるのはNG! 発火の危険性も……
ただモバイルバッテリーの買い替え時に困るのが、その処分方法ではないでしょうか。モバイルバッテリーに使われているリチウムイオンは資源有効利用促進法により、回収、再利用が義務づけられていることから、一般ごみとして捨てることは基本的にできません。一般ごみと一緒に処分してしまいたい気持ちは分かるのですが、リチウムイオンは非常に発火しやすく、ごみ収集車やごみ処理場で発火し大きなトラブルが生じるケースも少なからずあるだけに、注意が必要です。ではどうやって処分するのか? というと、1つは小型充電式電池のリサイクル活動をしている「JBRC」による回収です。JBRCに加盟しているモバイルバッテリーであれば、家電量販店や一部自治体にあるJBRCの回収拠点で回収してもらうことができます。
2つ目は自治体に回収してもらうこと。自治体によっては小型充電式電池などの回収事業を実施している所があるほか、中には一般的な不燃ごみや有害ごみなどと同様の扱いで回収してくれる自治体もあるようです。
そして3つ目はメーカーに直接回収してもらうことですが、中には海外メーカーの物で、問い合わせても回収できないケースもあるようです。モバイルバッテリーの処分は、購入時のメーカー選びから注意が必要だということも知っておくべきでしょう。
この記事の筆者:佐野 正弘
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手掛けた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在は業界動向から、スマートフォン、アプリ、カルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手掛ける。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手掛けた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在は業界動向から、スマートフォン、アプリ、カルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手掛ける。