楽しさ満載! 鉄道愛に満ちた絶妙なトークショー
鉄道趣味のトークといえば、マニアックすぎて一部のマニアだけが満足するような内容となりがちである。いや、久野さんの話もかなりマニアックではある。ところが、アナウンサーのキャリアで培った絶妙な話術に表情豊かなジェスチャーを加えると、そうした敷居の高さはどこかに消えてしまう。残るのは、鉄道愛に満ちた楽しさ満載の内容だ。これをマジックと言わずして何と言い表したらいいのだろう?
トークショーならではの関西弁も! イベントは「定時運行」で終了
『近鉄とファン大研究読本』の内容に触れながらのトークはなかなかに商売上手だ。さすが、関西出身といっては言い過ぎか? テレビで拝見する話振りでは、関西出身者ということを忘れてしまうのだが、今回は近鉄の話題ということもあってか、関西弁が何度も飛び出す。臨場感を出すための演出ともとれるが、話しているうちに地元に帰ったような気分になったせいかもしれない。あっという間に時間が来てしまい、もっともっと久野さんの語る鉄道の世界に身を置いていたかったが、会場の都合もあるので「定時運行」は守られた。 多くの人がスマートフォンを高く上げての撮影会は最近すっかり見慣れた光景だ。参加者1人1人に丁寧に対応しているサイン会を眺めながら会場を後にした。すっかり春めいた書店前の通りには爽やかで穏やかな空気が流れていた。
この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。