「All About」ノートパソコンガイドの上倉賢が解説していきます。
(今回の質問)
パソコンがウイルスに感染するとどうなる? 確認する方法はありますか?
(回答)
感染したことが分かる場合と、ユーザーが気付かない間に感染し続けている場合があります。セキュリティーソフトで検出できない場合もあり、ウイルスに感染しているかの確認は年々難しくなっているのが現状です。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
巧妙で危険な近年のウイルス
以前のウイルスは、パソコンの動作を不安定にさせるだけのような、個人による愉快犯的なものがほとんどでした。しかし、最近のウイルスは組織などを狙った国家ぐるみのサイバー犯罪も多く、巧妙で非常に危険なため、そのような攻撃に対応できる体制が必要になっています。例えば、最近定期的にニュースにもなっているウイルスにランサムウェアがあります。ランサムウェアは感染したパソコンなどのデータを瞬時に暗号化し、身代金を払わないとデータを元に戻せない状態にします。この状態になった企業は数日業務が止まるなど、多くの被害が発生しているようです。そもそも、身代金を払ったとしてもデータが戻るかは分かりません。
このようなウイルスは「スピア型」と呼ばれており、特定の組織や個人などを狙ったものが多いようです。以前は不特定多数を狙ったウイルスがほとんどでしたが、スピア型は特定の相手を標的としています。狙った相手を調べ上げた特別製のウイルスを相手に送りつける、本物と偽物の見分けが難しいスピア型フィシングも増えているようです。取引先のパソコンを遠隔操作し、正規の送信元の正規の文章にしか見えないデータを送り、相手に開かせた瞬間にウイルスに感染させるような事も行われています。
このような例では、相手自体はもちろん、その取引先も調べ上げて、使用しているセキュリティーソフトで検出できないようなウイルスを相手に気づかれないように感染させます。いつ感染したのか分からないまま使い続けて、ある日突然データが暗号化されたり、知らない間にデータが盗まれたりするのです。
もちろん、ウイルスはこのような高度なサイバー犯罪だけはありません。便利なソフトに見せかけ、SNS等の露出や動画の再生回数を増やす事が目的のトロイの木馬、パソコンを遠隔操作の踏み台にするものなど、さまざまなウイルスがあります。
対策の基本はセキュリティーソフト
検出できないウイルスも増えてはいますが、やはりウイルス検出の基本はセキュリティーソフトです。タスクマネージャーなどを使い、不審なプロセスがないか確認する方法もありますが、専門知識が必要ですし、毎回チェックするわけにもいかないので、難しいでしょう。現在では、パソコン内に不審なファイルがないかをセキュリティーソフトで調べたうえで、パソコン自体の不審な挙動を検出するEDR(Endpoint Detection and Response)など、より高度なセキュリティーソリューションを導入する組織も増えています。
更に重要なのは、利用者自身のセキュリティースキルの向上です。一見問題無さそうな文章ファイルでも、安全に見せかけているだけで危険な物が多いことなどを知れば、クリックする前に本当に安全かを考えられるようになります。最近のセキュリティー事情は、パソコンやスマートフォンを日常的に使用している方には定期的に確認しておくべき知識の1つといえるでしょう。
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この記事の筆者:上倉 賢
PC(パソコン)のニュースサイトがほとんどなかった10数年以上も前から、個人でノートパソコンに関する情報をWebで発信し続けている。それをきっかけに、現在はノートパソコン専門ライターとして活躍。新聞や雑誌などでもノートパソコン選びの執筆を行っている。
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