「私、何か悪いことしました?」と仕事相手からLINE……文末の「!」マークが生んだ想定外の誤解

LINEやメール、SNSなど、今や文章でのコミュニケーションは当たり前となりました。ところが、文字だからこその誤解や、伝わりきらず歯がゆい思いを感じたことはありませんか? 今回は、「言葉」を意識した文章についてお伝えします。

メッセージアプリ上で業務連絡を行う企業も増えましたが……
メッセージアプリ上で業務連絡を行う企業も増えましたが……
「全く~! 新入社員の〇さん、交換したLINEに早速連絡してきたと思ったら『体調悪いので欠席します』という言葉とともに絵文字でペコリ……。おいおい、友達だと思っているのかよ!」

同僚のM君からそんな愚痴を聞かされたHさん。実は自分もそんなLINEを上司にしたことがあったっけと思い出したそうです。

日頃から明るく元気いっぱいで、笑顔がキュートなHさんは言いました。

「LINEでメッセージをやり取りしていた相手に、『Hさん、怒ってますか? 私、何か悪いことをしましたか?』と言われたことがあって……。慌てて『誤解です!』と謝りました」

テキストコミュニケーションはなぜ誤解を生みやすい?

今やLINEやメール、SNSでのテキストコミュニケーションは当たり前の時代。その分、「文字だけだからこそ難しい」と感じる人は少なくないでしょう。だからといって、むやみに絵文字を入れてしまうと、相手を不快にさせてしまうことも。

顔(表情)が見えないからこそ、どんな言葉を文字にするかが問われます。

例えば、「ほんとにもう困りました」というのも、怒っているのか、ため息混じりの心境なのかは、文面だけでは判断しづらいものです。

だからこそ、会話以上に「言葉」を選んで紡いでいくことが大切です。

Hさんは「!」を使い過ぎた

先程のHさんは、なぜ相手に怒っていると誤解されてしまったのでしょう。それは、Hさんがメッセージの末尾に繰り返し「!」を付けていたことが原因でした。

相手にしてみれば、元気でキュートな普段のHさんの印象とのギャップもあったかもしれません。

「!」マークによって、メッセージのウラに、強く主張したい、訴えたい感情があるのではないかと受け止められてしまったのでしょう。

最後は誤解が解けて、相手にも笑顔が戻ったそうですが、顔が見えないからこそ、文章やマーク、絵文字の使い方など、配慮が必要といえそうです。

このように、本人に悪気がなくても、10人の読み手がいたら、10人の捉え方があります。全ての人に自分の思い通りのメッセージが伝わるというのは難しかったとしても、お互いに心地よくやりとりするために必要な心がけがあります。

人の心は文字や言葉に出る

人の心は、会話でも文章でも、いろんなところににじみ出てきます。

以前、成約率が悪く悩んでいる人の相談に乗りました。

「お客さまに買ってほしい気持ちを一生懸命伝えたのですが、お客さまはいろいろ言い訳をおっしゃいました。そのため、こちらのサービスを導入しないと、今と何も変わらないどころか、さらに悪化することを伝えて地獄を見せたのですが……」

どんなにいい商品を勧められたとしても、この人からは買いたくないと思いませんか?

商品を買ってほしいと思うのは、営業職なら当然かもしれませんが、お客さまのために勧めているというより、自分のために勧めているように感じ取られていたことが容易に想像できます。

「『買ってほしい』は自分軸です。お客さまはあなたのためではなく、必要性を感じたら、ご自身のために商品を購入するものです。『地獄を見せる』など、お客さまをどうにかして動かそうという思いが表れていると感じると思います。

お客さまの言い訳というより、断りたくなるやりとりはなかったでしょうか? お客さまに北風ではなく、太陽の関わりで言葉を選んで接したほうが、ずっとずっとお客さまはあなたから買いたくなるはずです」

筆者からのアドバイスに、相談者は大きな気づきを得たようでした。

「買ってほしい」ではなくて、「買わせてあげる」、「選ばせてあげる」。「お客さまが言い訳をした」のではなく「お客さまができない理由を正直に話してくださった」のです。

そのように、相手の気持ちに寄り添って言語化できていたら、攻撃性がなく、優しさにあふれた文章になったのではと思います。そして、そのときは決まらなくても、「次回はこの人から」となる可能性があるはずです。

文章は心の言語化です!

弊社への問い合わせでも「申し込んだセミナーの案内が来ないのですが、どうなっているのですか?」というメールが届いたことがあります。ところが、後日確認すると、迷惑メールに振り分けられていたそうです。

人を責める前に、まずは自分に責任がないか確認する。そして、文章は心を整えてから書きましょう。

「もしすでにご連絡済みでしたら申し訳ございません。なぜか私のほうに届いていないようですので、お手数ですが再送をお願いしてもよろしいでしょうか?」 そのように書いたほうが、お互いが気持ちよくやりとりできるはずです。
 

この記事の筆者:市川 浩子
両想いビジネスコンサルタント/一般社団法人ジャパングッドリレーションアカデミー代表理事。1万人に断られた営業時代の経験から心理学・脳科学などを学び、新規開拓数ナンバーワンに。著書『相手に「やりたい!」「ほしい!」「挑戦したい!」と思わせるムズムズ仕事術』(あさ出版)
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