小平市「ふれあい下水道館」って何だ? 本物の下水道管に入れる日本唯一の施設、子どもの学びに最適だった
実際に使用されている「下水道」に入ることができる日本唯一の施設、東京・小平市にある「小平市 ふれあい下水道館」。入館料無料とは思えない、大人にとっても子どもにとっても貴重で刺激的な体験をリポートします。
2030年に迫るSDGsの目標達成に大きな役割を果たす「下水道」。環境問題について、子どもたちに正しい知識を伝えていくことは大切です。
しかし、下水道について子どもたちに聞いてみると、「汚い」「見ることのないもの」のように、自分たちの生活に必要なのかもしれないけど遠い存在、というイメージしか出てこないもの。大人たちでさえ、下水道管はどのような機能があるのか、隅々まで理解しているわけではありません。
東京・小平市には、実際に使用されている「下水道」に入ることができる日本で唯一の施設「小平市 ふれあい下水道館」があります。子どもの教育にぴったりだとうわさの同施設、どのくらい学びがあるのか、実際に行って確かめてみました。
日本で唯一の下水道テーマパーク「小平市 ふれあい下水道館」
西武国分寺線「鷹の台」駅から徒歩7分、府中街道沿いにある「小平市 ふれあい下水道館」。なんと、「下水道」が主役の日本で唯一の下水道テーマパークなのです。「下水道」に触れ合うとは……疑問が残るまま、「下水道」について学ぶため、この施設に子どもを連れ足を運びました。
施設の外壁に、下水道館キャラクター「ヒルガタワムちゃん」を発見。現時点で何者かは知りませんが、かわいすぎませんか……。人気作品『ポケットモンスター』に登場してもおかしくないキャラクターデザインのクオリティに心が躍ります。
「ふれあい下水道館」は小平市が下水道普及率100%の達成を記念して、1995年に設立された施設。開館25周年の2020年には、来館者50万人を達成しています。
なんと、下水道をきれいにしていたのは……
1階のエントランスホールから、階段で地下に降りながら各階の展示を観賞していきます。まず地下1階の「講座室」に入ると、目に入ったのは大きなモニター。丸、楕円(だえん)、棒状など、さまざまな形の気泡のようなものが絶え間なくうごめいています。
なんと、その日の朝に汲み取った、下水の中に実際にいる生きている微生物なのだそう。筆者は今まで、プールに入っている塩素剤のように、下水は「薬品」を使用してきれいにしていると勝手に思い込んでいたのですが、実際には微生物たちが水に溶けている有機物を食べて浄化してくれていることを初めて知りました。
壁一面には、おびただしい数の微生物の写真が展示されています。毎日大量に流れ込んでくる下水をせっせときれいにしてくれる姿を想像し、「なんてありがたい……」と感謝の気持ちがあふれてきます。ちなみに、前述した下水道館キャラクター「ヒルガタワムちゃん」の正式名称は「ヒルガタワムシ」。こちらの講座室では、月に1回、小学生を対象に無料で工作や顕微鏡観察などの学習講座を実施しています。