今回、500人以上の子育て中の方に子ども部屋に関するアンケートを実施。その結果を踏まえながら、子どもの才能を引き出す家づくりを展開する大阪府の工務店リブランドさんにお話を伺った。
子ども部屋はいるのか、いらないのか?
All About ニュース編集部が実施したアンケートでは、「子ども部屋は必要だと思いますか?」という問いに対し、86%の親御さんが「必要」と答えた。多くの親御さんが子ども部屋の必要性を感じ、与えてあげたいと考えていることが分かる。子どもの才能を引き出す家づくりを展開する工務店リブランドの見谷さんは、こう話す。
「結論からいうと、子ども部屋は必要だと思っています。幼少期はほとんどの場合不要ですが、思春期になると一人の時間を必要とする子が多くなるからです。あくまでも子ども部屋は、“自分だけの空間をつくる”というプライバシー確保の観点から必要だというのが私たちの考えです」
子ども部屋はあくまでも「プライバシー保護のため」の空間。大人だって一人になりたいときはある。その“定義”がしっかりあれば、色々な疑問に対する答えが導き出せそうだ。
現代の子ども部屋の広さは“4畳前後”がちょうどよい
「当社がご提案する際は、4畳前後をおすすめしています。都会型の家では6畳の個室を子どもそれぞれに与えるのは難しいという理由もありますが、子どもが一人で過ごすプライベートな場所として、広すぎず狭すぎずちょうどよい広さが4畳前後と考えています。4畳前後の広さがあれば、勉強机やベッドなどの最低限の家具も置けます」(見谷さん)
また、見谷さんはこのように続けた。
「子ども部屋の広さを決める前に、子どもがそこで何をするのか、何をしたいのかを考え、話し合うべきです。勉強はリビングでしたい、友だちを部屋に呼びたい、部屋に趣味のものを置きたいなど、お子さんの希望や特性に合った広さを用意するのがベストです」
定説にこだわらず、わが子の状況や希望を鑑みることで、自ずと必要な広さは算出できそうだ。
子ども部屋を与えるベストタイミング
「子ども部屋を与えるタイミングの目安の一つは、“一人でお風呂に入りたいというようになったとき”と考えています。自分の身の回りのことがひと通り自分でできるようになったことは前提として、心身ともにプライベートな空間や時間を求めるようになったということです」(見谷さん)
子ども部屋を与えるタイミングは年齢や学年で判断するのではない。それを判断するために「お風呂に一人で入りたいというようになったとき」ということが一つの基準になるのは、目から鱗だった。
そして見谷さんはもう一つ、大切なことを教えてくれた。
「できることなら、部屋は先に準備しておいてあげたほうがいいです。『あなたの部屋はあるから、もし使いたくなったら言ってね』と伝えておき、いつでも使えるような体制にしておくのがベター。なぜなら、子どもが自分から自分の部屋が欲しいと言い出せるとは限らないからです。家の状況や親の顔色をうかがって言い出せない子もいるので、あらかじめ選択肢を与えてあげられるといいですね」
子ども部屋の目的は「勉強させること」じゃない
今回のアンケートで「専門家に聞いてみたいことは?」と尋ねると、「勉強場所はリビングなどのにぎやかな場所のほうがいいの?」「勉強場所をリビングから子ども部屋に変えるタイミングは?」「受験の時期は個室を用意してあげたほうがいい?」など、子ども部屋で勉強させるべきか否かについての質問がとても多かった。一人で集中したほうが勉強ははかどる気もするし、「東大に進学した子のほとんどはリビング学習だった」なんて話も聞いたりする。果たして正解は?
「小学校低学年までは勉強の習慣をつけたり、分からないときにすぐに聞けたり、解けた喜びを分かち合うことができるという意味でもリビング学習を強くおすすめしておりますが、それ以降の年齢になると正解はありません。
これは本当にそのご家庭によります。お子さんの特性を踏まえて、何がいいのかを考えてあげるべきだと思います。みんながいる場所のほうが落ち着いて勉強できるという子もいるかもしれませんし、早いうちから一人で集中して勉強したいという子もいるかもしれません」と、見谷さん。
やはりここでも定説にこだわる必要はないらしい。
「ただし、きょうだいがいてリビングが騒がしく、集中力が途切れてしまう場合、子ども部屋や別のスタディスペースを用意する必要はあるかと思います。もしくは『〇時〜〇時まではお勉強の時間ね』とルールを決めて、小さい子もお絵描きや塗り絵などの時間にしてもらうなどの工夫が必要ですね」(見谷さん)
同じ家族だからこそ、時に協力し合いルールを設けることは難しいけれど大切なことだ。
子ども部屋づくりには“臨機応変さ”が 大切
これから家づくりをするというタイミングでは、子どもがまだ小さい、もしくはこれから産まれるケースが多いと思う。子どもの特性や希望がまだ分からない、というタイミングではどのように子ども部屋をプランニングすればよいのか。「まずはご夫婦で子育て観について話し合い、共有し、一致させること。お子さんの成長を想像しながら、どんな風に過ごしてほしいか、どんな子に育ってほしいかを話し合ってください。思春期になったらプライバシー保護のために個室は必要だというのが私たちの考えなので、4畳前後の子ども部屋を用意しておくことをご提案しています。途中でお子さんが増える可能性がある場合は、広めの部屋をつくっておいて将来は仕切りをつけて2部屋にできるようにするなど、可変性のある空間を用意するのがおすすめです」(見谷さん)
一方で、マンションなどの限られた空間のなかで過ごす家族も多い。その場合、子どものためのスペースはどのように捻出すればよいのか。
「一人になる場所として、寝る部屋だけでも個室を与えてあげたいところです。私の家もマンションで子どもが3人いるのですが、夫婦の寝室を今は子どもの寝る部屋にして、私たち夫婦はリビングの一角などを活用するなどし、別の部屋で寝ています。子どもと一緒に暮らす期間は意外と短く、いつか出ていってしまうものだと思って、臨機応変にそのときの暮らしを楽しめたらいいですね」(見谷さん)
なんとなくこれまでの子ども部屋は、親が子どものために与えてあげるもの。そして、子どもの学習を促すための部屋として認識されていたように感じる。しかしこれからは、“家族で話し合ってつくりだす”もの。そして、“子どもの個を尊重するための空間”として考えていくことで、自分の子に本当に必要な子ども部屋の正解が分かってくるのではないだろうか。
取材協力:株式会社リブランド
大阪府吹田市にある工務店。建築の専門家と教育に携わる専門家が、最新の脳科学に基づいた「子どもの才能を引き出す家」を提案。デザインはもちろん、生活環境やその後の暮らしまで考え抜かれた独自の設計が魅力。
https://www.liveland.co.jp
大阪府吹田市にある工務店。建築の専門家と教育に携わる専門家が、最新の脳科学に基づいた「子どもの才能を引き出す家」を提案。デザインはもちろん、生活環境やその後の暮らしまで考え抜かれた独自の設計が魅力。
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この記事の執筆者:岩﨑 未来
編集者・ライター。地方移住&大工の夫と自宅をリノベーションした経験から、ソーシャルメディアや住宅関係の執筆を多数手掛ける。3児の母。
https://brightwrite.biz/
編集者・ライター。地方移住&大工の夫と自宅をリノベーションした経験から、ソーシャルメディアや住宅関係の執筆を多数手掛ける。3児の母。
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