女性の厄年とされる年齢は数え年で19歳、33歳、37歳、61歳。中でも33歳は「大厄(たいやく)」といい、昔から最も災難が多い年とされている。しかし、女性の33歳と言えば、仕事・結婚・出産とライフステージの過渡期であり、最も忙しい時期だ。そんな33歳を生きる女性たちに話を聞いた。
30歳ではなく、33歳が本当の節目?
女性の年齢はよく20代、30代で区切られる。特に恋愛・婚活市場においては、その差は大きい。25~29歳と30~35歳でカテゴライズされるマッチングアプリでは、1歳で大きくマッチング率が変わってくる、といわれている。しかし、30歳ではなく、33歳が本当の節目だと感じている女性も多い。
2022年、Xで33歳を迎える女性の“本音ツイート”が話題を呼んでいた。
独身で恋愛経験もなく、友達もいない。何か打ち込める趣味もない。平日は職場と家の行き来だけ。休日も1人で過ごすという自身のリアルなルーティーンをつづったツイートは共感を呼び、ツイート主は「まさかこんな何もない33歳になるとは思わなかったな」と語っている。
この現実の“リアル”さを感じるのは、30歳ではなく、33歳のようだ。
「家に引きこもる癖がついてしまって」33歳で感じた“体調の変化”
「厄年って本当にあると思う。33歳はしんどかった」こう語るのは、ミクニさん(33歳/会社員)。彼女は自身のことを「気づけば33歳になっていた」と表現する。
「婚活をしよう! と思った矢先、コロナが大流行。20代後半から31歳くらいまでは、“空白の時間”でした。そしてコロナが明けた頃、私は32歳に。空白の期間中に、恋愛の仕方も忘れてしまって」
ミクニさんはコロナ禍を“空白の時間”と表現する。友人からの飲み会の誘いもめっきり減り、それはコロナ禍が明けたあとも変わらなかった。
「会社自体がテレワークに移行してしまったこともあり、流れで『飲みに行く』という事象が起こらなくなったんです。さらに1日中家に引きこもる癖がついてしまって、外に出るのもおっくうに。そうこうしているうちに33歳になりました」
さらにミクニさんは、2023年に入り、体調を崩すことが増えたと語る。マスクを外すようになって、風邪をひきやすくなり、出不精のせいで体力が低下したという。
「体調を崩したと母に報告したら『今年は本厄だからね』と言われた。20代の頃は感じなかった体調の変化を感じています。でも、だからこそ体調に気を遣うようになりました。同時に、1人時間の楽しみ方を覚えてしまったのもあり、『結婚はいいかな』という気持ちになって」
ミクニさんは、自身の身体の変化を感じつつも、「結婚への焦りがなくなった」と語る。
32歳までは20代の延長。仕事、結婚も33歳からが本番か
「32歳までは20代の延長。30代の本番は33歳からだと感じる」こう語るのは、ミナミさん(34歳/会社員)。彼女が自身の中での変化を感じたのは、33歳の時だったという。
「『入社して10年目』が32歳の節目だったのですが、まだ若手扱いでした。でも10年を超えると一気にベテラン感が増すような気がします。うちの会社は、独身の方も多いのですが、結婚する人はたいてい33~39歳。『10年以上働いたし、そろそろ』と思うのかもしれません。あとは現実的に、35歳が高齢出産といわれているから『33歳までに結婚しよう』と計画的に考えている人も多いのかも」
ミナミさんにとって、30歳、31歳、32歳は「20代の延長」だったようだ。
「29歳の時、30歳になるのがとても怖かった。でも実際なってみると、何も変わらない。私自身の気持ちもまだ20代のままだった気がします。さすがに3年たつと、『30代の仲間入りだなぁ』とじわじわ感じるようになってきましたけど」
ミナミさんは、「結婚はどちらでもいい」と思っているが、結婚前提の恋人がいるそうだ。
「20代は絶対ハイスぺと結婚! とか思っていたけれど、そういう焦りが相手に伝わって恋愛がうまくいかないことも多々あった。今そういう焦りはありません。結婚も子どもも授かりものだから、できたらうれしいかなって」
地に足がつき、「1人で生きていける」からこその幸せもある
「1人が楽」と話すミクニさん、結婚の選択肢は残しつつ「どちらでもいい」と話すミナミさん。2人には、結婚や出産に対する焦りは感じられない。筆者が取材をしていく中で、結婚や出産に焦りを感じているのは、20代中~後半のような気がする。選択肢が無限に広がっているからこそ、恋愛やキャリアに迷う時期でもあるからだ。
一方、ミナミさんとミクニさんには他者に依存せず“地に足がついている”というイメージを強く持つ。もちろん2人には、語られない挫折もあっただろう。でもだからこそ、焦りのない、自立した生活を送れているようにも思える。
「まさかこんな何もない33歳になるとは思わなかったな」
冒頭で紹介した言葉に対して、「そんな平凡な生活って結構幸せかも」と思える日も近い。それが、33歳なのかもしれない。
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この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール
ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。