名詞は文章の中で最もよく使われる品詞です。普段「名詞とは何か」と考えることは少ないでしょう。今回は、名詞の種類や役割、文章の中の名詞の見分け方などをフリーアナウンサーの小川厚子が解説します。
<目次>
・名詞とは
・名詞一覧
・名詞の役割・はたらき
・名詞の種類
・文章で名詞を見分けるときのポイント
・英語における名詞の種類
・英語における可算名詞と不可算名詞
・まとめ
名詞とは
名詞とは品詞の1つで、人、物、場所、物事などの名称を表す自立語です。自立語とはそれだけで意味の分かる言葉です。体言ともいい、語尾が変わるという活用はありません。単独で主語になります。
名詞一覧
名詞には、以下のようなものがあります。「木」「山」「川」「海」「空」「犬」「猫」「鳥」「家」「庭」「東京」「アメリカ」「フランス」「富士山」「エベレスト」「私」「君」
名詞は非常に多様であり、カテゴリごとにさらに多くの具体的な名詞が存在します。
名詞の役割・はたらき
名詞には「主語」「述語」「独立語」「連用修飾語」「連体修飾語」の5つの働きがあります。
名詞の最大の特徴は、主語になることができるという点です。
(1)主語
名詞は「は」「が」「も」などの助詞が付くことで主語になります。
【例文】
「私は、明日学校に行きます」
「富士山がとてもきれいに見えます」
(2)述語
述語とは、主語の動作、作用、状態などを表し、日本語では述語は文の最後に来ます。名詞は「だ」「です」などの助動詞や、「か」などの助詞がつくことで述語になります。
【例文】
「日本で1番高い山は富士山です」
「これは彼の本か」
(3)独立語
指示や呼びかけの独立語になります。呼びかけの場合は「や」「よ」などの助詞をともなうこともあります。
【例文】
「海よ! なぜそんなに広いのか!」
(4)連用修飾語
名詞は「に」「を」「へ」「と」「で」「から」「より」などの助詞がつくことで、連用修飾語になります。連用修飾語とは用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する語のことです。
【例文】
「リンゴを食べます」
→名詞(リンゴ)+助詞(を)+動詞(食べる)
「プールで泳ぎます」
→名詞(プール)+助詞(で)+動詞(泳ぐ)
「店から出ます」
→名詞(店)+助詞(から)+動詞(出る)
(5)連体修飾語
名詞は「の」「に」「を」などの助詞がつくことで、連体修飾語になります。連体修飾語とは、体言(名詞)を修飾する語のことです。
【例文】
「彼女は赤色の車に乗っていました」
名詞の種類
名詞は「普通名詞」「固有名詞」「数詞」「形式名詞」「代名詞」の5つに分類することができます。
(1)普通名詞
一般的な物事の名称を表す名詞です。
(例)車、バス、飛行機、船、机、椅子、時間、知識、愛、心
(2)固有名詞
人物、物事、場所など基本的には1つしかないものを表す名詞です。
(例)日本、スカイツリー、アメリカ、自由の女神、パリ、エッフェル塔
(3)数詞
物の数や量、順序を表す名詞です。
(例)1つ、2番目、3人
【例文】
「彼は3人兄弟です」
(4)形式名詞
意味を詳しく説明するために常に修飾語を受けて意味を表す名詞です。
(例)こと、もの、ところ、はず、ため、つもり
【例文】
「彼はここに来るはずです」
(5)代名詞
人、物、場所、方向などを指し示す名詞です。代名詞は、名詞の種類の一部として表す場合と、名詞とは分けて説明する場合があります。
「私」「あなた」のような人を指し示す代名詞を人称代名詞と言います。「ここ」「そこ」「どこ」という物事や場所、方向を示す代名詞を指示代名詞と言います。
(例)私、あなた、これ、だれ、それ、あちら、こちら
【例文】
「こちらから、あちらの方角に向かいます」
文章で名詞を見分けるときのポイント
名詞を見分けるポイントは、基本的にはその言葉に、助詞の「が」「は」をつけてみて、主語になれば名詞です。
ただし、もともと動詞や形容詞として使われていた言葉が名詞になった転成名詞など、見分け方が難しい単語もあります。転成名詞も「が」「は」をつけて主語になるかどうかで見分けます。
・「帰る(動詞)」→「帰り」
【例文】
「会社からの帰りに立ち寄ります」
・「泳ぐ(動詞)」→「泳ぎ」
【例文】
「彼は泳ぎが上手です」
・「美しい(形容詞)」→「美しさ」
【例文】
「彼女の美しさにはかなわないでしょう」
英語における名詞の種類
(1)普通名詞
一般的な名前が付いた名詞で、同じ種類に属する物事を広く定義できる名詞のことです。
(例)mountain, river, ocean
(2)集合名詞
いくつかのものが集まってできた集合体の名詞です。
(例)family, class, team
(3)物質名詞
気体、材料、液体などを表す名詞で、1つ1つ目で見て数えられないものです。
(例)water, paper, sugar
(4)抽象名詞
目には実際見えない抽象的な概念を表す名詞です。
(例)love, hope, improvement
(5)固有名詞
他の同類のものと区別するために、物事に対して決める名前のことです。
(例)Tokyo, Mt.Fuji
英語における可算名詞と不可算名詞
可算名詞と不可算名詞は集合名詞の中に含まれる名詞です。
(1)可算名詞
数えることのできる名詞を指します。数える際に「1つ、2つ」と数えられるのが可算名詞です。その名詞を単数として用いるときは「a」や「an」をつけたり、複数として用いる場合は名詞の末尾に複数形を表す「-s」や「-es」を付けたりします。
(例)apple, cup, chair
(2)不可算名詞
1つ1つを数えることができないものや、実体のないものを不可算名詞といいます。数えることのできない名詞のため、常に単数形で使用されます。
(例)water , sugar, salt, love, hope, freedom
まとめ
名詞は人や物、場所などの物事の名称を表し、単独で意味の分かる言葉で主語になれる品詞です。また、文章の中で1番多く使う品詞は名詞です。そのため名詞をあまり知らないと、語彙(ごい)力がないように思われます。語彙力アップのためにも本や文章を読むなどして名詞の語彙を増やしていくと良いでしょう。
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