最近こそ食器洗浄機の普及で聞かなくなったものの、一昔前はヨーロッパ家庭で暮らす友人たちから彼らの「驚くような習慣」についてよく聞かされました。それは、食器の洗い方です。
「食器」は洗剤を溶かした水に漬け込む→乾かす
使用済みの食器を「洗剤を溶かした水」に漬け込み、その後はそのまま自然乾燥させて再び使用するというもの。イギリスにホームステイした経験がある友人によれば、食器に付着した洗剤をすすがず使うため、次の食事時にはきまって乾いた洗剤が皿にこびりついていたとのこと。
「洗剤が皿についている!」と訴えてみても、当のイギリス人ファミリーには何が問題なのか理解できない様子だったとも……。実はこの他にも、筆者の住むヨーロッパには日本人が仰天するような習慣があるのです。
「髪を洗う」のは週1~2回でいい
食器洗いの件と並んでわが耳を疑ったのが、ヨーロッパ人の洗髪事情です。
多湿な気候で汗をかきやすい日本では、臭いやすいためか毎日の洗髪を基本とする人は少なくないでしょう。ところがヨーロッパでは、週に1~2度にとどめる人が多く、高齢者や病人ならばともかく健康な20代の女性までがそうなのです。
その女性も、「どうせ髪はタバコの煙ですぐに臭くなるからシャンプーは週1でいいの」と周りの男性陣に自ら語っていたほどなので、別に驚くようなポイントではないのでしょう。
ヨーロッパで働いている日本人美容師の話では、ヨーロッパ女性の髪は洗髪頻度が少ないため皮脂でべたついており、美容院訪問時にもかなりの確率でゴミやホコリが髪に付着しているのだそうです。
乾燥した気候帯ですから毎日の洗浄は頭皮に負担となるのは分かりますが、もともと細くてヘアドライしやすい髪質の人が多いですし、せめてホコリが付かない程度に洗った方がよいのでは? と心配してしまいます。
昼食後の「歯磨き習慣」を不思議がる
日本では、日に3回歯磨きしている人がいても「清潔好きなんだな」とは思っても、特に不思議には思わないでしょう。昼食後のオフィスでは、歯を磨く人々で化粧室が混み合うこともよくある風景の1つです。
それがヨーロッパでは職場で歯磨きしている人を見かけないばかりでなく、こちらが磨いていると百発百中「何してるの!?」と目を丸くして尋ねられます。
歯科矯正など事情がない限り、「習慣として昼食後に歯磨きする」ことはどうやら驚きの対象となるようです。
そういえば、筆者が国際線のフライトアテンダントをしていた頃も、ミールサービス後や空港到着後に歯ブラシセットを握って化粧室に向かうのは決まって日本人でした。
その代わりと言っては何ですが、歯科衛生士による半年ごとのデンタルケアは日本よりヨーロッパの方がずっと普及している印象です。虫歯・歯石予防を目的とした意識の高い人が多いのですが、だったらランチ後の歯磨きにもいちいち驚かないでいただきたいような……?
先日、大学病院の歯科医にも筆者が日に3回歯磨きしていることを伝えるとビックリされたばかりか、「だからあなたは知覚過敏で、歯茎が後退しかけているのよ!」と、むしろ忠告まで受ける始末でした。
そういえば、磨き過ぎて歯が削れてしまったという話を聞くのは日本人ばかりですし、食器洗浄の件といいシャンプーの件といい、日本人は潔癖すぎるのでしょうか。
この記事の筆者:ライジンガー 真樹
元CAのスイス在住ライター。日本人にとっては不可思議に映る外国人の言動や、海外から見ると実は面白い国ニッポンにフォーカスしたカルチャーショック解説を中心に執筆。All About「オーストリア」ガイド。