(今回の質問)
公共Wi-Fiは本当につないでも大丈夫?
(回答)
個人情報のやりとりをする場合の利用は避け、Webページを閲覧するだけ、動画を見るだけといった利用に限定しましょう。
公共Wi-Fiを利用する場合の注意点
最近は図書館や市役所など、公共の場にWi-Fiが導入されることが多くなってきました。このようなWi-Fiを活用すれば、スマートフォン(以下、スマホ)で契約しているデータ通信量を抑えられるので利用したくなります。公共Wi-Fiを利用する場合には、まず本当に公共施設が提供しているWi-Fiかどうかを確認することが重要です。
公共の場所に提示されているステッカーなどに記載のSSID(接続先の名前)がスマホのWi-Fi一覧に表示されるかどうかを確認しましょう。所在不明のSSIDは、悪意のある接続先である可能性が高いといえます。
悪意のある接続先につなぐとどうなるか
悪意のある接続先を利用すると、InstagramやLINE、X(旧Twitter)といったSNSの認証が必要だと表示されることがあり、不用意にSNSのIDやパスワードを入力してしまうと、自分のアカウントが乗っ取られてしまいます。
その結果、自分になりすました第3者が誹謗(ひぼう)中傷を各所に書き込んでしまうことにつながります。さらに、Amazonのアカウントや銀行関連のアカウントを入力してしまうと金銭的な被害に発展します。
一方、接続先が正規のSSIDであっても、個人情報や金銭的な情報をやりとりするようなWebサイトには接続しないようにしてください。公共のWi-Fiは、ある程度セキュリティが確保されていますが、多数のユーザーが同時に同じ回線を使っているわけですから、万全ではありません。
特に公共Wi-Fiのアクセスポイントまで暗号化なし(パスワードなし)で接続できる場合は容易に通信を傍受(ぼうじゅ)されてしまいます。パスワードで暗号化されている場合でも、安全性の低いセキュリティを利用している場合は、傍受されないとは言い切れません。
「https://~」のWebサイトも安全とは限らない
「https://~」で始まっているWebサイトは、暗号化されているから安全だと思われがちですが、どこにどのようなわながあるか分かりませんので、公共のWi-Fiで利用することは避けましょう。
特に、銀行関連や通販関連など個人情報をやりとりする通信は、公共のWi-Fiでは避けるべきです。交通機関の予約など、どうしても個人情報をやりとりする必要があるときは、通信キャリアが提供するモバイルデータ通信(LTE)を利用しましょう。
通信の秘密を守るVPN(Virtual Private Network)利用する方法もありますが、VPNは無料で誰でもすぐに利用できるわけではありません。既にVPNを利用しているのであれば、少々処理が遅くはなりますが、利用する方法もあります。ただし、悪意のあるWebサイトに誘導されてしまう危険性は同じですから接続先に注意してください。
また、VPNでも通販や銀行のWebサイトなど個人情報をやりとりする通信は、自宅などセキュリティが確保された環境で行うようにしてください。わざわざ公共の場所で行うのはリスクが高いといえるでしょう。
ライター歴は20年以上。パソコン通信時代からネットワークに興味を持ち、LANや無線LANが一般に普及する前からLANの話題を追いかけ続けている。著作はすでに40冊を超え、テクニカルライターとしても活動している。