先ごろ帰国し、日本の酷暑とともに筆者が圧倒されたのが女性たちのスカート姿です。道行く誰もが一律にロングスカートをひらひらとさせ、とてもすてきに歩いていらっしゃいました。
その後に会った知人にロングスカートがトレンドなのか尋ねてみたところ、「今は特にマキシ丈が来ています」とのこと。でも言われるまで、それがマキシ丈ファッションだとはついぞ気付かなかったことに驚きました。なぜなら同じマキシ丈でも、ヨーロッパのトレンドとはあまりに異なっていたからです。
「大胆な肌見せ」でマキシ丈に抜け感を
筆者の住むヨーロッパでは、マキシドレスは長らく夏の大定番となっています。では日本のものとどこが違うのか考えてみたところ、決定的な相違点が3つありました。
マキシ丈ドレスが脚の大部分を覆ってしまう分、ヨーロッパの女性はほかのボディパーツを思い切り露出して夏らしさを演出しています。
>日本人は絶対着ない? 大胆な肌見せデザインを普段使い
肩はもちろんのこと、胸元や、背中から腰までぱっくりと開いたドレス、腰の左右がくり抜かれたデザイン、太もも深くまで入ったスリットなど、見せる部分と見せない部分のバランスを取りつつ、抜け感と涼しさを醸し出しています。
日本でもこのようなワンピースは販売されていますが、ヨーロッパのような普段着というよりは、結婚式やパーティー用ドレスとしての意味合いが強そうです。
体のラインを見せる!「8の字」ボディ万歳
マキシ丈に限らず、日本の全般的なファッションが上から下まですとんとした比較的ゆるやかなラインであるのに対し、こちらではウエスト部分を絞ってメリハリをつけるのが主流です。
ゆったりシルエットの流行が来ても、「妊婦に見える」「よほど高身長で細身のモデル体形しか着こなせない」と敬遠する人は少なくありません。たとえ肉付きの良いぽっちゃり体形でも、憧れの「8の字ボディ」の要となるウエストマークは欠かせないのです。
とにかくカラフル! 鮮やかな色とプリントが好き
日本ではブラック&ホワイトを筆頭に、落ち着いたカラーのロングスカートが多数派ですが、ヨーロッパでは華やかな色味やプリントのサマードレスが好まれます。大きな花柄や、色とりどりの幾何学柄など、冬が寒い分、反動で夏らしさを存分に楽しんでいるのかもしれません。
中には全身黒で固めたシックな女性もいますが、上半身の露出に加えて足元も肌面積の大きいフラットサンダルを合わせるなど、暑苦しく見えない工夫が見られます。日本のマキシスカートと、かなり趣向が違うのがお分かりいただけましたでしょうか?
>谷間も見える高露出、狙いは「抜け感」
日本では好奇の目にさらされる?
日本でこのような格好をしてしまったら、刺激的なファッションに免疫のない人々から好奇の目で見られるうえ、このところ話題となっているDJ SODAさんのように嫌な経験をする可能性も高まってしまうでしょう。
しかし、ヨーロッパでは大胆なデザインのマキシドレスをさらりとまとって、あろうことか学校の保護者会に参加する母親たちも決して少なくないから驚かされます。所変われば品変わるで、同じトレンドでも日欧で考え方や着こなし方がまったく違うのです。
この記事の執筆者:ライジンガー真樹
元CAのスイス在住ライター。日本人にとっては不可思議に映る外国人の言動や、海外から見ると実は面白い国ニッポンにフォーカスしたカルチャーショック解説を中心に執筆。All About「オーストリア」ガイド。