毎日新聞などによると、11日午前10時ごろ、岐阜県飛騨市神岡町で開かれていた「第18回山の村だいこんマラソン大会」ハーフの部を走っていたランナー115人が蜂に刺されたという。報道によると、ランナーが刺されたのは7キロ地点の打保橋付近。橋げたの下にキイロスズメバチの 巣が見つかった。大勢のランナーが一度に橋を通った振動で蜂が驚き、巣から出て刺した可能性があるという。市教育委員会の調べでは、刺された115人は、大会本部で氷で冷やすなどの手当てを受けたり市内の病院に受診するなどしたが、入院した人はいなかった。
今回は軽症の人が多かったようだが、毎年多くの人がスズメバチの被害に遭い、全国では年間約20人の人が死亡しているという林野庁のデータもある。
スズメバチが活動するのは5月~11月。中でも8月から9月頃がスズメバチの活動が最も盛んになる時期。巣もバスケットボール大にまで大きくなる。特に9月中旬頃には新女王バチが生まれる時期で、数百匹ともいわれる働きバチが巣に対して非常に敏感になるため、スズメバチの巣の周辺が一番危険な状態となる。
巣に近づかないのが得策であるが、期せずしてスズメバチに遭遇してしまったらどうすればよいのだろうか。刺されたときの症状や対処法について、医学博士の清益功浩氏がAll Aboutで、次のように解説している。
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ハチに刺されたときの主な症状は?
ハチに刺された時の主な症状について清益氏は次のように挙げている。
- 刺された部分の腫れ、発赤
- 全身にじんましん・紅潮(皮膚が赤くなること)
- 浮腫
- 喉頭浮腫・嗄声(させい:声がかれる)
- 呼吸困難・喘鳴(ぜんめい:ゼイゼイといった息をする)
- 腹痛・下痢(げり)・嘔吐(おうと)
- 痙攣(けいれん)・頭痛・めまい・意識消失
- 血圧低下・頻脈→ショックから死亡
ハチは初めてハチに刺された時以上に、2度目の方が危険という。2度刺されると過剰反応を起こし、アレルギー反応を起こすからだという。アレルギー反応の中でも特に重症となるアナフィラキシーには注意が必要。なお、最初に刺されてから、10年以上ハチに刺されることがなければ、全身に影響を及ぼすような症状が出る確率が下がるといわれている。
注意が必要なのはスズメバチだけではない!
清益氏によると、攻撃性の高さではスズメバチには及ばないものの、「アシナガバチ」や「ミツバチ」にも注意が必要なのだそう。ハチ毒には、様々なアレルギーを起こす物質が含まれており、日本以外での人口の約1%にハチアレルギーがあるともいわれている。
ハチを見かけたら?
ハチを見かけたら、ハチを怒らさないように気をつけて、そっと逃げることが大切。清益氏によると、ハチの毒針には、ハチが攻撃的になるフェロモンが含まれており、ハチに刺されるとその毒針からフェロモンが発せられる。一匹のハチが刺した後、他のハチもつられて集団で襲いかかるという習性があるので、1匹でもハチを怒らすと大変というわけだ。
ハチにさされたらどうすればよい?
たとえばミツバチの針には返し棘があり、皮膚に刺さると抜けなくなり、無理に抜けば毒の袋ごと抜けてしまう。この場合、ハチも死ぬが、針が皮膚に残ったままになってしまうことに。まずはハチの針を取り除くこと。そして、刺された部分を洗い流す。局所は、虫刺されと同様に、抗生剤入りのステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬の外用薬を使うのがよいと、清益氏は述べている。
一方、アナフィラキシーが出た場合はすぐに治療が必要なので、すぐに医療機関に受診が必要となる。また、自分がハチアレルギーかどうかが事前に分かっていれば、再び刺された時にアナフィラキシーの症状を一時的に緩和できる注射を自身で打つといった対処ができる。皮膚試験、血液検査、血液検査をすれば分かるので、機会があれば調べておくのもよいと、清益氏は勧めている。
ハチを見かける前に注意しておくべきこと
スズメバチの特徴として、黒いものに対して攻撃性を増すことが知られている。黒い髪は格好の的となってしまうので、白い帽子をかぶるのがおすすめだ。また、衣服の上からもハチが攻撃してくることもあるため、薄着や素肌の露出にはも注意が必要。
また、スズメバチなど攻撃的なハチの巣を見つけたときには決して近寄らずに、最寄りの役所などに連絡することも大切だ。
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