10日、神奈川県茅ヶ崎市で開かれた「スタンドアップパドルボード(SUP)」の国際大会で、主催者が配ったTシャツを着た選手やスタッフらおよそ30人が皮膚のかぶれや、やけどのような症状を訴えたという。このうち1人が病院に搬送され、入院した。朝日新聞などが報じている。
報道によると、ロゴマークをプリントするために用いた薬品がTシャツに残留していたことが原因とみられるという。
Tシャツを着用した選手らは皮膚のかぶれのほか、水ぶくれ、かゆみや痛みを訴えたという。何かに触れたことで湿疹やかゆみなどの症状が現れる皮膚の病気に「接触性皮膚炎」があり、今回のケースも疑わしい。この接触性皮膚炎について、医学博士の清益功浩氏がAll Aboutで以下のように解説している。
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接触性皮膚炎とは
清益氏によると、植物・金属などが皮膚に接触した部分に、紅斑(こうはん:赤い湿疹)・丘疹(きゅうしん:盛り上がった湿疹)・水泡(すいほう:水を持った湿疹)が生じる皮膚炎という。症状にはかゆみもあるという。
清益氏によると、接触性皮膚炎はアトピーと症状が似ているという。しかし、アトピーは様々な原因で湿疹が起こるので治りにくいが、接触性皮膚炎の場合は原因を特定できれば、その原因を除くことで治すことができると清益氏は説明する。
接触性皮膚炎の分類
接触性皮膚炎はそのメカニズムから5つに分けられるという。
- 刺激性接触性皮膚炎
肌の洗い過ぎなどで皮膚のバリアが低下してしまい、刺激物質が皮膚に侵入して、炎症を起こす - アレルギー性接触性皮膚炎
アレルギーを起こす物質が炎症を起こす - 光接触皮膚炎(光毒性接触性皮膚炎、光アレルギー性接触性皮膚炎)
ある物質が肌に塗られている状態で、太陽の光などの紫外線が肌に当たると、炎症が起こる。紫外線が無い場合には炎症は起こらない - 全身性接触性皮膚炎・接触性皮膚炎症候群
同じアレルギーを起こす物質が繰り返し皮膚を刺激することで、接触した範囲を超えて全身に湿疹が出現する - 接触性じんましん
物質に接触した部分に蕁麻疹(じんましん)が起こる
接触性皮膚炎の原因とは?
様々な物が原因になり得るといい、清益氏は以下のものを例に挙げる。
- 植物(ウルシなど)
- 食べ物(しょう油・山芋など)
- 金属(指輪・時計・ネックレスなど)
- 日用品(洗剤・化粧品など)
- 外用薬(湿布・軟膏など)
特定するための診断と検査法
まずは問診が重要で「湿疹がいつ、どんな時に、どこに発生するのか」を質問するという。繰り返し湿疹が出ている場合は、そのときの状況をゆっくり考えてみることを清益氏は勧める。確定診断は皮膚試験が必要になるという。これは、原因と思われる物質を皮膚に添付して、皮膚の反応を見るという。
治療法は
治療には、原因に対する治療と湿疹についての治療の2つの方向性が考えられると清益氏は述べ、以下のような治療を行うという。
- 原因となる金属などを見つけ、除去する
- ステロイド外用薬の塗布
- 抗ヒスタミン薬の内服
- 保湿剤などの外用薬(湿布・軟膏など)の塗布
- 重症の場合はステロイドの内服
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