初デートでホテルに誘われ、求めに応じてしまうことも一度や二度じゃなかった……と振り返る39歳女性。「辛口アドバイザー」植草美幸が彼女に伝えた言葉とは? 昨今の婚活事情ならではの“落とし穴”とあわせて紹介します。
CASE.5|体の相性も大事? セカンドバージンの危ない婚活
「アプリでは次々とお誘いがあり、好みのタイプならなるべくお会いしていた。初めて会った男性からホテルに誘われることもあり、求めに応じることも一度や二度ではなかった……」
T実さんはアプリで婚活をして2~3年。多くの男性と会っていながら、結婚を前提にした交際にはつながらず、気づけば39歳になってしまった……と筆者の結婚相談所にいらっしゃいました。
彼女の過去の恋愛歴を伺うと、大学時代の数回のみ。就職後はシステムエンジニアとして仕事に打ち込んできたため恋愛をする余裕がなく、セカンドバージン状態でアプリを使い始めたのだそう。
そのため、「もういい大人だし、誘われてイヤじゃなければホテルに行くものかと思っていた。断ったら脈ナシだと思われて、嫌われてしまうかもしれない。結婚するなら体の相性も大事だし、って言われて……」と言うのです。
マッチングアプリだけじゃない「婚活」の落とし穴
彼女に限らず、マッチングアプリに出会いを求めて気軽に利用する人が増えました。オンラインの出会いは否定しませんが、既婚者や詐欺師が紛れ込まないよう、独身証明書や、年齢や年収などを証明する書類を必要とする安心安全なサービスを選択することが前提です。
本気で結婚したいと思っている人だけとマッチングした上で、人柄や性格、価値観や結婚観をすり合わせていくのが、結婚への道筋となります。
体の関係を求められることと愛されることは別物!
T実さんには、「体の関係を求められることと、愛されることは別物よ!」と伝えました。恋愛経験が少ない女性ほど、アプリで言い寄ってきた相手に傷つけられ、いいようにされてしまう事例が絶えません。
さらに筆者は、ビジネスに例えてこう伝えたのです。
「ビジネスでは大事な商談ほど段階を踏むもの。初対面から名刺交換やプレゼンをすっ飛ばして、とりあえずハンコを押して! なんてことはないですよね。1回目は挨拶と名刺交換で相手のニーズを探り、2回目から本格的な商談やプレゼンに入り、信頼関係を築いてから契約に入るものです。婚活も同じなんですよ」。
「1回目のデートは1~2時間の顔合わせで、お互いを知りましょう。いきなり体の関係を求め、必要以上に深い関係になろうとするのは怪しいと思わなきゃ」と諭しました。
「本気で結婚したい男性は慎重に行動しますし、女性の年齢にシビアですから、おいそれと誘っては来ないかもしれません。でも、アプリよりもずっと本気で婚活をしている安心安全な男性たちが、結婚相談所にはたくさんいらっしゃるんですよ」と彼女に伝えました。
気持ちを新たにしたT実さんに、お相手への希望条件を聞くと、年齢は10歳上まで、自分よりも年収が高いこと。そこでマッチングしたのは、48歳の東海地方の建設会社の二代目社長の男性でした。年収700万円のT実さんに対し、相手男性は1000万円超。頼りがいのあるタイプで、数回目のデートで体の関係を求めるような下品で無茶な振る舞いももちろんなく、とんとん拍子で結婚へと話が進んでいきました。今は彼の地元で社長夫人となり、システムエンジニアの経歴を生かしながら楽しく働いていらっしゃいます。
本気の結婚相手をアプリで探す男性は少数派!
昨今、梅毒やクラミジアなどの性病が増えているというデータがありますが、その背景は、出会い系アプリの利用者が増えていることも一因ともいわれます。
マッチングアプリを遊び目的で使う男性と、安易に関係を持つことは女性にとってさまざまなリスクがあります。実際、「結婚相談所ではエッチできないし、もうちょっと遊び半分で楽しみたいからマッチングアプリがちょうどいい」と告白する男性もいます。
言葉巧みに「好きだから、ホテルに誘ってるんだ。君には気持ちがないってこと?」と誘導され、誘いを断わりにくいと感じる女性もいますが、そんな相手は願い下げ! 手っ取り早く無節操に関係を持ちたいだけなのが見え見えです。
この記事の執筆者:植草美幸
結婚相談所マリーミー代表。恋愛・婚活アドバイザー。ラジオやWebメディアも含め、年間約2000件の恋愛・結婚相談を有し、自身が代表を務める相談所では年間成婚率80%を達成するなど業界異例の成果を誇る。『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)をはじめテレビ出演多数。著書に『ドキュメント「婚活」サバイバル』(青春出版社)、『結婚の技術』(中央公論新社)など。