6月22日、JR東日本の第36回定時株主総会がホテルニューオータニ(東京都千代田区)で開催された。ここ2年ほど新型コロナウイルスの感染対策もありオンラインで参加してきた筆者だが、2023年は会場まで足を運び、総会の様子を肌で感じ取ってきた。どのような報告、そして株主と経営陣とのやりとりがあったのかをリポートする。
参加規制がなくなった株主総会
例えば2022年6月の招集通知には、「極力、書面または電磁的方法(インターネット等)により事前に議決権の行使をいただき、株主総会当日のご来場をお控えいただくようお願い申し上げます」と記されていた。しかも、「間隔を空けて着席していただきます。そのため株主さまのご来場状況によってはご入場をお断りさせていただく場合がございます」と但し書きがあり、わざわざ出かけても必ず参加できる保証はなかった。
しかし、2023年は、そのような条件は一切なく、コロナ禍前に戻ったかのようだった。もっとも、ぎっしり満員ということはなく、筆者の席の両側も空席だったように、「密」や圧迫感は感じなかった。以前より出席者は2~3割ほど少ないように思われた。
営業収益は前期比21.6%増だが……
株主総会では、まず事業報告として当期(2022年4月1日~2023年3月31日)の業績が公表された。それによると、営業収益は、2兆4055億円で、前期比21.6%増。しかし、2021年度、2020年度はコロナ禍により業績が大幅に落ち込み、赤字に転落していた。
コロナ禍前の2018年度の3兆20億円に比べると、回復して黒字になったとは言うものの、完全に元に戻ってはいない。コロナ禍後の働き方や出張の在り方の変化を考えると、以前の状況に戻ることを会社側も考えてはいないようだ。
収益改善策としては、リアルとデジタルを融合して収益の向上を目指す施策をいくつも考えている。エキナカ・ビジネス、個室型シェアオフィス「STATION BOOTH」や駅ナカシェアオフィス「STATION DESK」の充実もその1つだ。
JREポイントも好調で、会員は1400万人近くにも上る。現状に満足せず、3000万人を目標に掲げていて鼻息は荒い。ポイント取得で会員がトクになるだけではなく、会社側も収益向上になり、ウィンウィンの関係といえるだろう。