北海道・函館「マメさん」がラー博で復活! お麩が特徴の“幻の塩ラーメン”が食べられるのは3週間だけ

新横浜ラーメン博物館の「あの銘店をもう一度“銘店シリーズ”」第14弾として、北海道・函館の「マメさん」が2023年4月4日から4月24日まで出店。閉店した函館の人気店がラー博で復活した「幻の塩ラーメン」が横浜で味わえるチャンス!

北海道・函館「マメさん」塩ラーメン
北海道・函館「マメさん」塩ラーメン

新横浜ラーメン博物館(以下、ラー博)は2024年に迎える30周年に向けて、2022年7月1日から「あの銘店をもう一度」プロジェクトをスタート。過去に出店したことのある約40店舗の銘店が2年間かけリレー形式でラー博に出店します。

2023年4月4日から4月24日の「あの銘店をもう一度“銘店シリーズ”」第14弾は、北海道・函館「マメさん」が出店。閉店した函館の人気店がラー博で復活した「幻の塩ラーメン」が横浜で味わえるチャンス!(画像は全て提供)

 

北海道・函館「マメさん」の数奇な運命

マメさん創業者の岡田芳也さん
マメさん創業者の岡田芳也さん

北海道・函館の「マメさん」は、1968年にオープンし、1985年に閉店、復活したラーメン店。創業者である故・岡田芳也さんが高校生のころ、たまたま立ち寄った屋台のラーメン店「龍鳳」の味に感動し、通い続けたことが開業のきっかけとなっています。

岡田さんの実家は、函館の老舗製麺所「岡田製麺」。後継者としてそこで働くようになった岡田さんは、交通事故で閉店・療養中だった「龍鳳」の店主と偶然、出会ったのでした。愛してやまないあの味への想いを伝え、ついには作り方を伝授されることとなりました。

1968年、岡田さんは函館駅前のビルに「マメさん」をオープン。ちなみに「マメさん」とは、岡田さんのニックネームだそう。「龍鳳」の味をグレードアップさせた塩ラーメンは瞬く間に大人気となり、わずか11席の小さな店ながら、1日400杯を売る大繁盛店となりました。

しかし、オープンから3年後、岡田さんは家業を継ぐため「岡田製麺」に戻ることに。その後、「マメさん」は後継者不在のため、1985年、大人気のまま閉店。かつて岡田さんが惚れ込んだ味は、またしても幻の味となってしまったのでした。

ラー博で「マメさん」が奇跡の復活!

ラー博に復活したマメさんの外観(2000年撮影)
ラー博に復活したマメさんの外観(2000年撮影)

オープン間もないラー博が函館の塩ラーメンを調査していたころ、「昔、大繁盛していた幻の塩ラーメンがある」という情報を入手しました。もちろん、それは「マメさん」のこと。お店をやっていたのは、岡田製麺の代表取締役の岡田さんであることを突き止めました。

ラー博の担当者が岡田さんを訪ねて「マメさん」復活の話を切り出したところ、社長という立場であること、閉店から15年も経っていることを理由に断られてしまいます。その後、何度か交渉を重ねるも、岡田さんは首を縦に振ってくれることはありませんでした。

ところがある日、岡田さんから函館に来てほしいとの連絡が。岡田さんは従業員に内緒で、昔の「マメさん」の味を再現していたのです。「実は私が一番マメさんの復活を望んでいました。が、経営者ですし、簡単に『やります』とは言えませんでした」(岡田さん)

「マメさん」は1996年からスタートした「新横浜着 全国ラーメン紀行」の第8弾として、2000年6月6日~2001年2月25日の期間限定店として出店。もともとの「マメさん」の味をベースに新たな郷土のエッセンスを加えた温故知新のラーメンであることから、ラー博では「新・函館ラーメン マメさん」という屋号となりました。

2001年に帰郷オープンした「マメさん」(現在は移転)
2001年に帰郷オープンした「マメさん」(現在は移転)

ラー博での営業を終え、その年の4月、地元・函館に帰郷オープン。2013年には函館市末広町から函館市宝来町に移転。2017年、残念ながら岡田さんは亡くなられ、現在は息子さんが厨房に立たれています。

「マメさん」の塩ラーメンは「お麩」が特徴的

「マメさん」塩ラーメン

岡田さんが愛した「マメさん」の塩ラーメン。さっぱりした味わいながらコクのあるスープが特徴です。

タレは昆布や帆立、カニなど、魚介の旨味を凝縮。スープには豚、鶏、節類、野菜を使用。弱火で長時間煮だし濁らせないスープはさっぱりとしていながらコクも充分。「マメさん」ゆかりの焦がし背脂の香ばしさがアクセントとなっています。

製麺所の社長ということで、特に麺にこだわったといいます
製麺所の社長ということで、特に麺にこだわったといいます

製麺所の社長でもあった岡田さんは、麺には特にこだわったそう。うどん用の中力粉などをブレンドした麺は、つなぎとしてフノリが練りこまれており、函館ならではの潮の香りを表現するとともに、しなやかでソフトな麺に仕上げてあります。食感を損わないように、手間ひまかけて包丁切りで提供。

麺、スープに使われる「フノリ」。函館ならではの磯の香りを表現
麺、スープに使われる「フノリ」。函館ならではの磯の香りを表現

具材はシンプルにチャーシュー、メンマ、ネギ、そして函館ラーメンでは定番の「お麩」が入っているのが特徴です。2001年当時、筆者もラー博で実食しましたが、麺がつるっとしていてうどんのようだったこと、スープをたっぷり吸った「お麩」が珍しく、おいしかったことを覚えています。

函館では定番という「お麩」
函館では定番という「お麩」

再び、ラー博で「マメさん」の塩ラーメンが食べられるとは、この上ない喜びです。
 

「あの銘店をもう一度」情報

期間:2022年7月1日~約2年間(銘店シリーズ各店約3週間/94年組シリーズ各店約3か月)
場所:新横浜ラーメン博物館
期間中出店数:約40店舗(現店舗除く)
“94年組”第2弾:環七「野方ホープ1994」3月2日~7月17日
第13弾:博多「元祖 名島亭」3月14日~4月3日
第14弾:函館「マメさん」4月4日~4月24日
第15弾:「支那そばや」4月25日~5月15日
第16弾:アメリカ・ハリウッド「IKEMEN HOLLYWOOD」5月16日~6月5日
URL:https://www.raumen.co.jp/



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