話題作に次々と出演している女性俳優、夏帆(かほ)さん。2022年にはドラマ『silent』(フジテレビ系)、さらに満島ひかりさんと佐藤健さんがダブル主演を務めたNetflixのオリジナルドラマ『First Love 初恋』に出演。
2023年1月クールは、SNSを中心に人気を集めているドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)で、重要な役を担っています。そんな夏帆さんの魅力を、元テレビ局スタッフの筆者が過去作品をさかのぼりながら探ってみたいと思います。
全ては『天然コケッコー』から始まった
夏帆さんを語る上で外せない作品が、映画『天然コケッコー』です。2007年公開の映画で、15歳の夏帆さんが初主演を担当。くらもちふさこさんのコミックスを原作として、監督は山下敦弘さんが務めました。夏帆さんは、大自然が残る田舎町の美少女「右田そよ」を演じました。東京からの転校生・大沢広海(岡田将生)とのキラキラとした初恋を描き、かわいらしく真っすぐな「そよ」を熱演。15歳とは思えない豊かな表現力を見せ、少女から大人に変わる瞬間を丁寧に描き出しました。自然体の演技が絶賛され、「第31回日本アカデミー賞」「第32回報知映画賞」などの新人賞を獲得しています。その後に『東京少女』や『砂時計』など、いくつかの映画で主演を務めます。
清純派の代表格として人気を集めましたが、そんな夏帆さんが再度注目されることになったのは、2013年に放送されたドラマ『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系)でした。染谷将太さんが主演の学園ドラマで、夏帆さんは茶髪でヤンキーの平野美由紀を演じました。超能力を持った主人公がさまざまなトラブルを起こすコメディ作品で、夏帆さんは体当たり演技を見せました。
純真な少女を演じた『天然コケッコー』から、ヤンキー役の『みんな!エスパーだよ!』まで、夏帆さんの演技は常に「ナチュラル」。どんな役を演じても、初めからそこにいたような錯覚を感じさせてくれます。
俗に言う「自然な演技」をするには、役に入り込みその上でキャラクターを表現する必要があります。どの俳優でもできる芸当ではなく、若い時から天才と言われた夏帆さんだからこそなせる技なのです。