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31日にかけて関東から北日本にかけて大雨などに注意したい

気象庁によると、強い台風10号は29日午後、八丈島のほぼ東の海上を北東へ進み、29日夜にかけて伊豆諸島の東海上を北上し、30日は進路を北北西に変え、北日本や関東地方に接近する見込みという。同日夕方から夜には、強い勢力で暴風域を伴ったまま東北地方に上陸し、31日には日本海に進む予想だという。

 

同庁は、大雨による土砂災害や河川の氾濫、暴風、高波に厳重な警戒が必要と呼び掛けている。われわれは、土砂災害の被害を受けないためにはどのような対策をとればよいだろうか。住まいの安全に詳しい一級建築士の井上恵子氏はAll Aboutで「土砂災害の起こりやすい土地かどうかを見極めることが大切」と述べ、土砂災害の種類と危険度について以下のように解説している。
 
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土砂災害の種類

井上氏によると、自然災害のうちの「土石流」「地すべり」「がけ崩れ」の3つを土砂災害と呼んでいるという。
 
■土石流
大雨や雪解け水などが原因で山が崩れ、崩れた土砂が水と一緒に谷を下り、谷の出口で扇状に広がる現象をいう
 
■地すべり
主に傾きの緩い斜面で地面が固まりのまま滑り落ちる現象で、広い範囲で発生するため、建物、田畑、道路などが一度に大きな被害を受ける。川をせき止めた土砂が一気に崩れると土石流が発生することがある
 
■がけ崩れ
急な斜面が突然崩れ落ちる現象で、崖の下の家も崖上の家も危険。がけ崩れが起きるとほとんど逃げることができない。大雨や雪解け水が崖にしみこんで緩んだ時や、地震が原因で起こるという。
 
これらの土砂災害から身を守るために。井上氏は「まずは自宅の建つ土地の土砂災害の危険性を知ることが大切だ」と述べ、以下のように土砂災害の危険性を知る方法を紹介している。
 

特殊土壌地帯の指定を受けているか

「特殊土壌地帯」に指定されているかどうかが、危険性を知るひとつの方法だと井上氏は述べる。
 
特殊土壌地帯とは、「しばしば台風の来襲を受け、雨量が極めて多く、かつ特殊土壌(シラス、ボラ、コラ、アカホヤなど火山噴出物及び花こう岩風化土その他特に浸食を受けやすい性状の土壌を言う)でおおわれ、地形上年々災害が生じ、または特殊土壌でおおわれているために農業生産力が著しく劣っている都道府県の区域」のことという。
 

シラスやマサ土の土壌に注意

特殊土壌地帯の指定を受けている地域のうち、例えば鹿児島県、宮崎県南部、熊本県の一部で見られる火山灰でできた「シラス」の土壌では、大規模な崩壊、地滑り、土石流が発生しやすいとされているという。
 
また、中国地方の大部分、九州、四国、近畿の一部に広がる花こう岩が風化した「マサ土」の土壌は降雨による崩壊、土砂流出が激しいとされていると井上氏は述べる。マサ土は地下のマグマが固まってできた花こう岩が風化してサラサラになったもので、水を含むともろくて崩れやすいのだという。
 
特殊土壌地帯の面積は国土の約15.2%を占めており、全域指定県は鹿児島、宮崎、高知、愛媛、島根という。一部指定県は9県あり、大分、熊本、福岡、山口、広島、岡山、鳥取、兵庫、静岡と、井上氏は説明する。
 

ハザードマップで確認を

ピンポイントである地域の土砂災害の危険性を知りたいときは、各自治体に問い合わせをしてみてほしいと井上氏は推奨する。多くの自治体では、ハザードマップを作ってホームページで公開したり、配布したりしているという。
 
ハザードマップとは、ある場所で自然災害が発生したときに、被害を受けるであろうと想定した範囲を地図上で表したもので、危険箇所を色分けしたり、避難場所や避難時の心構えなどが掲載されているとし、井上氏は「『土砂災害警戒区域』『特別警戒区域』『土砂災害危険箇所図』などの情報を見ると良い」と説明している。
 
また、日本全域の土砂災害のハザードマップは国土交通省砂防部のホームページから調べることができるという。
 

土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域

「土砂災害警戒区域」とは、急斜面値の崩壊などが発生した場合に、住民等の生命または身体に危害が生じる恐れがあると認められる区域であり、指定されると危険の周知、警戒避難体制の整備が行われるという。
 
「土砂災害特別警戒区域」とは、土砂災害警戒区域よりさらに危険性が高いと指定された地域で、特定の開発行為に対する許可制、建築物の構造規制等が行われるという。
 
いずれも土砂災害防止法に基づき、都道府県が土砂災害の危険性を調査し、土砂災害の恐れのある区域等を指定するものと井上氏は述べる。
 
住宅を新規購入したり賃貸に入居したりするなど、不動産取引が行われる際の「重要事項説明」では、これらの指定区域に入っている場合もきちんと説明しなくてはいけないと定められているという。
 

ハザードマップだけでは不十分

重要事項の説明を受けたりハザードマップを確認したりすることはとても大切なことだが、井上氏は「実は、それだけでは不十分だと考えられている」と警鐘を鳴らす。「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」に指定されていないものの、危険性が高い場所が存在するからだという。
 
井上氏によると、例えば全国には52万か所の土砂災害危険箇所があると言われているが、そのうち土砂災害警戒区域に指定されているのは全国平均で67.5%にとどまり、指定が最も遅れている北海道で12%程度となっているのだという。指定が遅れている原因としては、調査に手が回っていない地域があることや、指定を受けると地価の下落が懸念されるため、住民の同意を得られにくいなどが挙げられるのだという。
 
土砂災害法で定められた「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」に指定されてはいないものの、危険性が高いと判断された場所を「土砂災害危険箇所」とし、公表している自治体もあるので、確認しておく必要があると井上氏は説明する。
 

土地の危険性を知るには

その土地に昔から伝わる言い伝えや民話、古くからなじみのある地名にも防災の知恵が隠されているという。
 
例えば、一般的な地名漢字に用いられる主な語句とその意味では、河川浸食を受けやすい場所では「カツ」(勝、渇、且、割)、水気の多いところや地崩れが多い所では「シシ」(獅子、宍、鹿、猪)、崖地のがけ、斜面では(坂、崖、垂、欠、岸、傾、崩、刈、峡)、「サガ、ソガ」(佐賀、嵯峨、曽我)、崖関連では(日向、日陰、裏、腰)、崖や深い谷や絶壁を表す「クラ」(倉、蔵、鞍、暗)、土砂流出のある場所「アズ、アツ」(小豆、厚、熱、篤、安土)、埋め立てたところや地すべりで埋まった場所を意味する「ウメ、ウマ」(梅、埋、宇目、馬)などがあると、井上氏は述べている。
 
このほかにも地域に住むお年寄りに過去の自然災害の様子を聞いたり、過去の地形を調べることも、そこが危険な場所かどうか判断する材料になるとする。
 

あちこちから情報を収集する

毎年発生し、多くの命を奪う可能性のある土砂災害から身を守るために、ぜひ自宅周辺の危険度を調べると同時に、さまざまな情報から複合的に危険度を判断し、どのような兆候が見られたら避難を始めるべきか、避難場所はどこかなど、日ごろから家庭で確認をしておいてほしいと井上氏は述べている。
 

【関連リンク】
土砂災害の種類と危険度を知る


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