年収300万円の人は「犬」や「猫」を飼っても大丈夫?

ペットと暮らすと、おうち時間は楽しいものになります。今回は年収300万円の1人暮らしの人がペットを飼っても大丈夫かどうかを、家計費の内訳やペットにかかるお金を確認しながら、検証してみます。

コロナ禍の影響もあり、出かけるよりも家にいることの方が多くなったという声をよく耳にします。家での過ごし方を工夫する人が増えてきたのでしょう。
 

おうち時間を楽しいものにするには「ペットを飼う」のも選択肢の1つになります。しかし、ペットは生き物。飼うとなれば、お金も手間もかかります。安易な気持ちで飼い始めると、後悔することになるでしょう。
 

そうならないためには、ペットを飼ったとき、どんなことに、どのくらいのお金がかかるのか知っておくことが大切です。今回は30年猫と暮らし、老猫(高齢猫)の世話について情報発信しているファイナンシャル・プランナー(FP)の筆者が、年収300万円(手取り19~20万円)の1人暮らしの人が、ペットを飼っても大丈夫か考えます。

筆者宅の猫「まるこ」はいつも目がまん丸

 

年収300万円での家計費の内訳を確認

年収300万円を12カ月で割ると、1カ月分の給与支給額は、25万円です。ここから健康保険や厚生年金などの社会保険や所得税が控除されると、手取りは約19万7000円になります。まずは、年収300万円の人が、1人暮らしをしたときの家計の内訳を確認してみましょう。
 

今回は、総務省統計局が実施している2022年の「家計調査(家計収支編)単身世帯・年収200~300万円」の平均値を参考にします。持ち家率が約7割を占めているため、家賃と貯金は、手取り額に対する理想割合で計算します。
 

【年収300万円での1人暮らし家計費内訳】

・家賃:3万9400~5万9000円(共益費&管理費含む、手取りの2~3割)
・貯蓄:1万9700~4万円(手取りの1~2割)
・食費:3万7000円
・水道光熱費:1万5000円
・通信費:7000円
・被服費:4000円
・交際費:1万円
・その他(保険料、雑費など):2万5000円
・合計額:19万7000円
 

年収300万円(手取り19万7000円くらい)の1人暮らしで、毎月約4万円を確実に貯蓄しようと思えば、使えるお金は15万7000円です。その範囲内での生活は、費目ごとに予算建てをして、計画的にお金を管理することになるはずです。
 

貯蓄は、約2~4万円という幅となっていますが、できれば4万円にして、生活防衛資金をしっかり貯めましょう。生活防衛資金がなぜ必要かは次でお話します。

隅っこぐらしの「ゆかり」

 

年収300万円で1人暮らしの人は、生活防衛資金を約100万円貯めよう

生活防衛資金とは、不測の事態に備えるための予備のお金です。毎月の生活費の3~6カ月ほどを目安にします。
 

例えば年収300万円の場合、6カ月分の生活防衛費は「15万7000円×6カ月=94万2000円」となり、約100万円です。生活防衛費が準備できていれば「何かアクシデントがあっても大丈夫」という安心感が得られます。将来、ペットを飼うときも、余剰資金があれば、どっしり構えていられます。
 

次は、ペットを飼うとき、何にどのくらい必要になるのか見てみましょう。

こちらをジッと見つめる「まるこ」

 

ペットを飼うには「1カ月当たり1万5000~1万8000円」を確保しておく

一般社団法人ペットフード協会の「2022年 全国犬猫飼育実態調査」によると、犬、猫それぞれの毎月の費用は、次の通りです。


【犬1匹当たりの費用】

・1カ月当たりの平均支出額:1万3904円
・一生涯でかかる必要経費:約252万円(犬全体の平均寿命は14.76歳)


【猫1匹当たりの費用】

・1カ月当たりの平均支出額:7286円
・一生涯でかかる必要経費:約132万円(猫全体の平均寿命は15.62歳)

平均支出額には、食費、消耗品費、医療費、ペット保険などが含まれています。上記の費用以外に、飼いはじめのうちは、去勢や避妊手術が必要です。
 

また毎年、犬/猫ともに病気予防の混合ワクチン、犬であればフィラリア予防薬、狂犬病の予防接種も必須です。さらに、ペットの健康管理をしっかりするため、毎年1回、血液検査をする飼い主もいます。
 

他にも、ペットは暑さや寒さで体調を崩す場合があるので、季節によっては1日中エアコンを掛けたり、ペットカーペットを備えたりすることも必要です。ペットを飼うと予想外の出費が多く「こんなに、お金がかかると思っていなかった……」と後悔する人もいます。
 

そうならないためにも、予備費を含め毎月の費用は平均で1万~1万5000円ほどと考えておきましょう。さらに高齢期に向けて、2000~3000円ずつ積み立てておくとなれば、毎月1万5000~1万8000円がペットを飼うために必要なお金です。現在の家計で、これだけの金額が予算建てできるかどうかを次で詳しくお話しします。

ゆめじの視線の先に「何かいる?」

 

年収300万円の人がペットを飼うには

年収300万円で1人暮らしをした場合、毎月の家計費は15万7000円。もしこの中から、ペット費用の1万5000~1万8000円を確保するとすれば、実際の生活費は13万9000~14万2000円で全て賄わなければなりません。
 

しかし、昨今の電気料金や食品などの物価上昇を考慮するのであれば、15万7000円内で家計を回すぐらいの余裕が欲しいところ。さらに切り詰めて生活をするのは、厳しいのが実情ではないでしょうか。
 

ペットの寿命はうれしいことに15~20年と長くなっています。一方で、飼い主も年を取るので、先述した生活防衛資金が貯まった後は、自分の老後資金を準備するため、約4万円の貯蓄を継続していく必要があります。
 

そう考えると、年収300万円での1人暮らしでは、ペットを飼うのは正直キツイといえます。現段階では、ムリしてペットを飼うよりも、月収を25万円(「ペットにかかる毎月の費用1万5000~1万8000円」×12カ月分=18~21万6000円)以上にすることに集中した方がよいでしょう。ペットは、十分な蓄えを得てから飼う方が安心です。



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