かわいいペットを見ると「ペット飼いたいな」と思うことがあるものです。しかし、ペットを飼い始めたら、お金も手間もかかります。先々のことを考えずに飼ってしまうと、後悔することになるでしょう。
今回は30年猫と暮らし、老猫(高齢猫)の世話について情報発信しているファイナンシャル・プランナー(FP)の筆者が、年収200万円(手取り13~15万円くらい)の独り暮らしの人が、ペットを飼っても大丈夫か考えます。
年収200万円、手取り13~15万円でペットを飼うのは慎重な検討が必要
年収200万円を12カ月で割ると、1カ月分の支給額は、約16万6000円。ここから健康保険や厚生年金などの社会保険や所得税を控除すると、手取りは約13万3000円となります。もし、給与以外に2万円ほど収入があれば15万円ほどの手取りになるでしょう。
まずは、独り暮らしをしたときの家計費のうちの主な経費を見てみましょう。今回、経費の参考にしたのは、総務省統計局が実施している2021年の「家計調査(家計収支編)単身世帯」の平均値です。
【独り暮らしの家計費内訳目安】
・家賃:2万2000円
・食費:4万円
・水道光熱費:1万1000円
・家具・家事用品:6000円
・通信費・交通費:1万9000円
・被服費:5000円
・医療費:8000円
・交際費:8000円
・その他(保険料・雑費等):3万6000円
・合計額:15万5000円
独り暮らしの平均的な消費支出額は15万5000円。年収200万円で手取り13~15万円くらいの場合、生活費で全て使ってしまうことになります。また、この状況では、次のような2つの問題があります。
1. 貯金できない
ペットはかわいいですが、ペットを飼ったために、貯金できないのは問題です。ペットは飼い主自身の経済的なゆとり、心のゆとりがあって、十分なお世話が可能になります。
毎月、収支がギリギリの状態で、貯金ができないと、もし万が一のことがペットや飼い主にあったとき対応できません。また、そのことを考え、大きな不安を感じることになるでしょう。
2. 「ペット可物件」は通常よりも割高で物件数も少ない
ペットと暮らすときは「ペット可の賃貸物件」に住むことになります。ペット可物件というのは、物件を探すときの「こだわり条件」なので、通常よりも割高であったり、物件数自体が少なかったりします。そのため、家賃2万2000円というのは難しく、最低でも4~5万円(管理費・共益費込み)が必要になるでしょう。さらに、自分自身が希望する立地・間取り条件なども追加すれば、ますます物件数が少なくなってしまいます。
希望の物件が見つかったとしても、家賃が2倍になれば、他の生活費を削り、家賃に充てることになります。現状の家賃込みで1カ月15万円ほどの生活は、それ自体ムダのある生活ではないため、さらに家計費全体を細かく見直すことになり、窮屈に感じることになるかもしれません。
次は、ペットを飼うときにかかる費用を見ていきましょう。
ペットに毎月かかる費用、犬の平均は約1万4000円、猫の平均は約7000円
一般社団法人ペットフード協会の「2022年 全国犬猫飼育実態調査」より、犬、猫それぞれの費用を見ると次の通りです。
【犬1匹当たりの費用】
・1カ月当たりの平均支出額:1万3904円
・一生涯でかかる必要経費:約252万円(犬全体の平均寿命は14.76歳)
【猫1匹当たりの費用】
・1カ月当たりの平均支出額:7286円
・一生涯でかかる必要経費:約132万円(猫全体の平均寿命は15.62歳)
犬、猫それぞれの平均支出額は目安となりますが、ペットホテルに預けたり、季節によっては1日中エアコンをかけたりすれば、個々に負担する経費は増えます。予備費を含め毎月の費用は、平均で1万~1万5000円ほどと考えておくとよいでしょう。
さらに高齢期に向けて、2000~3000円ずつ積み立てておくとなれば、毎月1万5000~1万8000円がペットのために必要になります。
年収200万円の場合、ペットの費用、世話が負担にならない場合は大丈夫
ペットは生き物なので、今月お金がないから、何も与えないというわけにはいきません。毎月かかるお金はペットが亡くなるまで必要になります。その上、病気やケガをすれば、病院に連れて行き、世話をしてあげることになります。
ペットに関するお金、世話にかかる時間を考えた場合、年収200万円(手取り13~15万円くらい)の、独り暮らしの飼い主にとっては、負担が大きくペットを飼って大丈夫とはいえません。現段階では無理をせず、別の楽しみを見つけるようにしましょう。
どうしてもペットを飼いたい場合は、家賃がかからない実家で暮らすなど、ペットの費用、世話が負担にならないのであれば大丈夫でしょう。
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