SNSなどでかわいい犬や猫の動画を見る機会が増え、自宅にもペットを迎えたいと考える人もいるのではないでしょうか。ペットフード協会の発表によると、2019年以降、新規で犬や猫を飼い始めた人が増えているようです。
ただ、ペットを飼うとなれば、初期費用をはじめ毎月のフード代や消耗品代など、結構お金がかかるのも事実。またペットが年々長生きになっていることもあり、飼い主にとって、ペットを飼うことが負担にならないことが大切です。
今回は30年猫と暮らし、老猫(高齢猫)の世話について情報発信しているファイナンシャル・プランナー(FP)の筆者が、いくらくらいの年収であれば安心してペットを飼えるかを考えてみました。
ペットを迎えたときの初期費用、その後の飼育費用にはどんなものがある?
今回はペットの中でも、犬、猫に絞って紹介します。また、犬猫のペットショップでの購入費用は、保護犬、保護猫を引き取る人が増えていることもあり、除きます。まずは、初期費用の目安を見てみましょう。
ペットにかかる初期費用は5~10万円が目安
保護犬、保護猫を譲渡してもらうときは、ペット代はかかりませんが、ワクチン代や検査代など、かかった実費を負担することになります。目安は2~5万円ほど。もらう犬、猫の状況で変わります。
さらに犬、猫を迎えれば、それに伴い生活に必要なグッズの費用も発生します。フード、ケージまたは柵、ペットトイレ、トイレシーツ、猫砂、食器、ペットキャリー、おもちゃなど。犬の目安は5万円ほど。猫の目安は3万円ほどになります。
避妊手術がまだであれば、さらに2~3万円ほど、去勢手術は、1万5000~2万5000円ほどの手術代が必要になります。ペットを迎えるだけでも、初期費用はざっくり5~10万円ほど必要です。
次は、毎月にかかる費用について説明します。参考にしたのは、ペットフード協会の「2022年 全国犬猫飼育実態調査」です。
犬にかかる1カ月当たりの平均費用は約1万4000円、生涯費用は約252万円
犬1匹当たりにかかる平均支出総額は1万3904円。ただし、この支出はトイプードル、ダックスフント、チワワなどの小型犬も含めた目安です。柴犬、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、ボーダー・コリーなどの中型以上になると3000円アップの1万7259円が平均支出総額になります。犬全体の平均寿命は14.76歳、一生涯でかかる必要経費は約252万円です。
猫にかかる1カ月当たりの平均費用は約7300円、生涯費用は約132万円
猫1匹当たりにかかる平均支出額は7286円。猫は犬に比べ、支出は少なくなります。内訳を確認すると、差となるのはトリミング代です。一般的に、猫は自ら毛づくろいをするのでトリミングは不要ですが、ノルウェージャンフォレストキャット、ペルシャなどの長毛種であれば、必要になることもあり、その分経費が上乗せになります。猫全体の平均寿命は15.62歳であり、生涯かかる必要経費は、約132万円です。
ただし、紹介したものはあくまで一般的データです。例えば飼い主がペットの健康を重視する人であれば、プレミアムフードを選ぶこともあります。また、お出かけが多い人であれば、ペットホテルの費用がかかる場合もあります。個々の生活スタイル、価値観によっても毎月の費用は変動します。
公的な保険がないペット、かかる医療費を確認
ペットは生き物という点で、忘れてならないのが医療費です。ペットも人間と同じように、年齢が高くなれば、健康に不安が出てきますが、人間と違い公的な医療保険がありません。そのため、病気やケガでの治療が思った以上に高額になることもあります。
ペットフード協会の「2022年 全国犬猫飼育実態調査」で、1年間で動物病院に行った回数の平均値を見てみると、犬の全年齢での平均は約5回。年齢別にみると、1歳未満、7歳以上の高齢期で回数が多くなります。
一方、猫の全年齢での平均は約3回。犬に比べ少ないように感じますが、年齢別にみると、13歳以上の高齢になると4~5回に増えます。回数が増えれば、その分かかる治療費も増えるでしょう。
負担を和らげるには、ペット保険や、毎月2000~3000円ずつの積み立てをして備えることも大切です。
ペットを安心して飼える年収は310~360万円以上
犬や猫を1匹飼うときにかかる毎月の費用は、予備費も含め約1万~1万5000円ほど。それ以外にも、高齢期に向けて、2000~3000円ずつ積み立てておいた方が安心です。そうなると、毎月1万5000~1万8000円がペットのために必要になります。
さらに、総務省統計局が行った「家計調査(家計収支編)2021年(令和3年)」によると、単身世帯の消費支出の年間平均額は186万552円。これらを合わせると、ペット飼うときにかかる総支出をつかむことができます。
《ペット飼ったときの平均的な総支出》
・生活費:186万円
・ペットの費用:22万円
・支出合計:208万円
年収に対し手取りが約80%とすれば、年間経費208万円に対する年収は260万円です。ただ、260万円はギリギリラインですので、安心とはいえません。心の余裕、安心してペットを飼うのであれば、少なくとも260万円にプラス50~100万円した年収310~360万円以上が必要です。
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