M世代の韓国エンタメウォッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!
#8のテーマは「韓国の大型K-POPアワード」について。その年に活躍した旬のアーティストが集まる一大イベントのラインナップや見どころ、そして最新事情まで語ります。
【前回の記事(#7)はこちら】
冬はK-POPアワードの季節!? 韓国では11月~1月にかけてイベントが盛りだくさん!
編集担当・矢野(以下、矢野):2022年の『NHK紅白歌合戦』はIVEとLE SSERAFIMが出演するということで、とても楽しみなのですが、こういう話題が出てくると「いよいよ年末だな」と実感します。韓国でも年末年始はそういった歌謡祭や賞レースってあるんですよね?
K-POPゆりこ(以下 ゆりこ):はい。11月から1月にかけてはK-POPのアワードや歌謡祭が続きますよ。まずは2022年11月26日にソウルで行われた「Melon Music Awards(通称:MMA)」。MelonというのはKakaoグループが運営している音楽配信サービスです。そこの配信利用データを元に、その年によく聴かれた楽曲やアーティストを表彰します。
矢野:いわば「韓国版Spotify」という感じでしょうか。
ゆりこ:まさにそんなイメージです。韓国ではSpotifyよりもMelonの加入者数の方が断然多いですね。とうとう2022年はYouTube Musicに抜かれたという報道もありましたが、これまで最も使われてきた音楽サブスクです。
矢野:韓国は国内サービスが強く、Apple Musicもあまり浸透していないと聞きました。そして僕の2022年のマイブーム、トゥバ(TOMORROW X TOGETHER)が「MAMA AWARDS(以下:MAMA)」で来日したというニュースも拝見しました。ゆりこさん行かれたんですよね?
ゆりこ:3年ぶりのリアル開催、しかも会場が日本の京セラドーム大阪ということで友人と頑張ってチケットGETしました。2022年の「MAMA」については後半でお話しするとして。2022年12月13日には名古屋で「Asia Artist Awards(通称:AAA)」も開催されましたね。これは音楽に限らず、俳優なども表彰する総合的なエンタメアワードです。
矢野:そういえば、日本で言う『NHK紅白歌合戦』的な歌番組ってあるんですか?
ゆりこ:中身は違いますが……強いて言うなら、地上波3局が年末に放送する『KBS歌謡祭』『MBC歌謡大祭典』『SBS歌謡大祭典』が近い存在かもしれません。中でもMBCは大晦日に放送していますね。どれも2000年代初めは日本の『輝く!日本レコード大賞』のようにその年に活躍したアーティストを表彰するものだったんですが、審査の公平性など議論が相次ぎ、今ではすべてお祭り要素の強い音楽特番となりました。
矢野:順位をつけて表彰するのではなく、あくまで「お祭り」という形式になったのはテレビ局側の事情も垣間見えます。今後のお付き合いを考えると。
ゆりこ:そんな大人の事情もあるでしょうね。各局が音楽番組を持っていますし、バラエティやドラマにもキャスティングしていかなきゃいけないので。余談ですが年末はK-POPに限らず、その年にヒットしたドラマや出演者、スタッフを表彰する『演技大賞』、バラエティ番組やお笑いタレントにスポットを当てた『芸能大賞』も別日にあります。地上波3局が3大年末授賞式を放送する、というのが韓国の年末の風物詩です。
矢野:じゃあ大晦日に限らず、12月末は連日どこかの地上波で大型アワードがやってるんですね、韓国は。
ゆりこ:K-POPファンや韓国ドラマファンにとって、年末はそれらを見る楽しみがありますよね。『芸能大賞』や『演技大賞』でもK-POPアーティストが祝賀ステージを披露したり、プレゼンターとして出てくるので見逃せません。私も韓国で年末授賞式を観覧したことがありますが、旬のスターたちが一堂に会する様子はなかなか圧巻でした。日本でも放送してくれるCSチャンネルがあるので、韓国へ行かなくとも見ることができます。
矢野:ちなみにその中で「一番権威がある」番組やアワードってあるんですか? 順位づけは難しいかと思うのですが。
ゆりこ:1月に開催される「ゴールデンディスクアワード」は“韓国のグラミー賞”だとか言われることもありますが。正直、どれも大差がなくなってきているように感じるんです。数も多いし分散化されつつある印象です。芸能事務所主催の合同ライブも増えましたし、アメリカの番組から声がかかるなど、一昔前に比べてK-POPアーティストの出る舞台がグッと増えましたよね。
矢野:たしかにお伺いしただけでもたくさんあるなぁ、という感想です。MAMAとかMMAとかAAAとか字面だけ見るとちょっと紛らわしいですし(笑)。
ゆりこ:確かにパッと見似てる。その中でも個人的には毎年「MAMA」が楽しみですね。「Mnet ASIAN MUSIC AWARDS」の略称で、K-POPファンならお馴染みの音楽・芸能チャンネルMnetのアワードなのですが、これまでも香港、シンガポールなど海外の大きな会場で開催してきました。例年はさすが韓国エンタメの総合商社、CJ ENMだと思って……いたんですよ。
矢野:おっと、過去形ですか? もしや2022年は何か思うところがあったとか?
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