俳優の高畑裕太容疑者(22)が23日、強姦致傷の疑いで群馬県警に逮捕されたと報じられている。

 

報道によると、高畑容疑者は23日未明、宿泊していた群馬県前橋市のビジネスホテルで、従業員の40代の女性に対して手足を押さえつけるなどして性的暴行を加え、けがをさせたという。同容疑者は容疑を認めているという。容疑者は女優の高畑淳子さんの息子で、NHK連続テレビ小説などに出演。日本テレビ系の「24時間テレビ」への出演も決まっていた。

 

高畑容疑者は「女性を見て欲求を抑えきれなかった」などと供述しているようだが、人の本能のひとつである性的衝動が問題行動や性犯罪につながるのはなぜか。メンタルヘルスの専門家である中嶋泰憲氏がAll Aboutで精神医学的観点から解説している。

 

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性的衝動が過剰に高まる、その要因は?

中嶋氏によると、性犯罪は多くの人には無縁だが、性的な衝動を覚えること自体は日々の暮らしの一部かもしれないという。目の前に素敵な異性が現われて、少しソワソワするようなことも性的衝動の一種とする。

 

一方、中嶋氏は性的衝動が「エスカレートしていないかは十分注意したい」と指摘する。たとえば「性的な内容がいつも頭を巡ってしまう」あるいは「性的なコンテンツを集めてばかりいる」といった場合もあるとしている。

 

中嶋氏によると、性的衝動の度合い自体は性ホルモンの分泌によるところもあり、個人差が大きいというが、性的衝動に影響を与える主要な要因としては「ストレス」が挙げられるようだ。日常生活で何か解決しがたい問題を抱えている、不安が強い、気持ちが冴えない、怒りを覚えやすくなっているといったようなこともあるかもしれないと中嶋氏は説明する。

 

ストレス状態に置かれた中では、「何かで気持ちを軽くしたい」といったいわば現実逃避のような衝動を覚えやすいもので、人によってはそれが性的衝動になってしまう可能性があると中嶋氏は指摘。もっとも通常は問題行動につながることはないというが、以下のような別の要因で衝動のコントロールが甘くなってしまう可能性があると中嶋氏は説明している。

 

コントロールできなくなる要因は

性的衝動のコントロールはさまざまな要因で難しくなる可能性があるという。普段は全く問題がなくても、中枢神経系に作用する薬物などには注意が必要という。

 

例として中嶋氏はアルコールを挙げる。アルコールは嗜好品とはいえ、中枢神経系に抑制作用がある薬物の1種という。アルコールの影響下で脳機能が低下すれば、本来コントロールできたはずの衝動をコントロールできなくなる可能性があると中嶋氏は指摘。飲酒は性的な問題に限らず、暴言や暴力などさまざまな問題行動の原因になり得るため、「飲酒を甘くみることは無用のトラブルを招いてしまうかも」と中嶋氏は述べている。

 

性的なことに対する考え方自体が、衝動のコントロールを甘くする可能性もあると中嶋氏は説明する。たとえば「そうした行為は○○なら当然!」「こっそり覗くぐらいなら、たいしたことではない」といった意識があれば、それらの行為への衝動を覚えた際、ストップが掛からない可能性があるという。

 

また、性的な問題行動が起こる背景には、元々のパーソナリティとして「衝動のコントロールが苦手」、「感情や行動に不安定な面がある」、あるいは「社会的モラルに欠ける傾向がある」など、問題行動につながりやすい要因を持っていることもあるという。思考の何らかの不合理性が問題行動に関係している可能性もあるとしており、中嶋氏は「その状況によってはこうした問題点に対処するために精神科的治療も望ましくなってきます」と述べている。

 

被害の深刻さを過小評価してはいけない

中嶋氏は「性的なことに対する考え方は人それぞれ」としながらも、社会的に許容されている範囲ははっきりしていると指摘。問題行動に対して、意識が低すぎる場合はそれをはっきり認識する必要があるという。セクハラなども含め、性的問題に対する意識が今日、高まってきているが、これは被害者に深刻な後遺症をもたらし得ることが広く認知されてきたことが大きいと中嶋氏は述べている。

 

実際、性犯罪の被害者の心は深刻な危機にさらされ、急性ストレス障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などが現われることがあると中嶋氏は説明。PTSDは元来、苛酷な戦闘体験を送った兵士にその症状が現われたことから、その病名が生まれ、戦闘時の苛酷な体験が何度も悪夢やフラッシュ・バックといった形でよみがえり、緊張状態におちいる。性犯罪の犠牲者に類似の精神症状が現われやすいことは、性犯罪は苛酷な戦闘体験と同じレベル、あるいはそれ以上の心的ダメージを被害者にもたらす可能性があると中嶋氏は指摘している。

  

性的衝動には個人差があるが、時にそのコントロールが難しくなる場合があり、それを万が一、問題行動につなげないためにも、まずは「性犯罪の被害の深刻さは絶対に過小評価しないことが大切」と中嶋氏は述べている。

  

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