新横浜ラーメン博物館(以下、ラー博)は2024年に迎える30周年に向けて、7月1日から「あの銘店をもう一度」プロジェクトをスタート。過去に出店したことのある約40店舗の銘店が2年間かけ3週間のリレー形式でラー博に出店します。
11月25日~12月15日の第8弾は、福岡・久留米「大砲ラーメン」です(画像はすべて提供)。
実は「久留米」が発祥の九州・とんこつラーメン
今や誰もが知る「とんこつラーメン」ですが、ラー博開館時の約30年前は首都圏ではあまり知られていない存在でした。やがて博多・長浜を中心とするお店が首都圏に進出し、「とんこつラーメン=九州・博多」というイメージが定着しました。
九州ラーメン及びとんこつラーメンの発祥は、1937年に創業した久留米「南京千両」とのこと。同じ福岡県の久留米が発祥なのです。「大砲ラーメン」も久留米発祥のラーメン店です。
「とにかくいいスープを」の想いから生まれた「呼び戻しスープ」
「大砲ラーメン」の発祥は1953年、戦後の復興期に初代 香月昇(かつき のぼる)さんが久留米の明治通り沿いに屋台を開業したことに始まります。屋号の「大砲」とは、昇さんが「家を飛び出したら最後、二度と戻らない鉄砲玉のような人」だったことにちなみ、鉄砲では小さい、でっかく大砲にと、命名されました。
昇さんは「とにかくいいスープを作りたい!」との想いから、売上金を手に熊本県まで良質の豚骨を買い付けに出掛けた、といいます。その一念で誕生したのが大砲ラーメンの代名詞となる「呼び戻し」スープでした。
「呼び戻し」とは、スープを煮込む釜のひとつを空にせず別の釜で作った新しいスープをそこへ少しずつ継ぎ足すことで、より深いコクと旨みを出すという技法。昇さんが試行錯誤の上で生み出しました。初代が作り上げた技法を二代目となった均史(ひとし)さんが「呼び戻し」と命名しました。「呼び戻し」は、株式会社大砲の登録商標となっています。
ラー博へは、2009年12月19日~2013年1月14日まで出店していました。
創業から約70年、継ぎ足し続けた「呼び戻し」スープ
「呼び戻し」は単純に継ぎ足すのではなく、季節や日によって調合が異なるために高い技術を要するのだとか。均史さん曰く、「呼び戻しは、積み上げられた歴史の味を今日に残すという意味で、勘と経験がものをいいます。技術を身につけるまで最低でも3年の年月が必要です」とのこと。
創業から約70年となる現在も、継ぎ足し続けた釜のスープを絶やすことはありません。今回のラー博出店の際には、釜から釜へ、店から店へと「スープ分け」を行うことで、創業当時から熟成され続けた「呼び戻し」スープを味わえます。
そんな大砲ラーメンの「呼び戻し」スープは、濃厚でありながらもまろやかな口当たりが特徴的。豚骨だけを使用し、強火でにごらせながら、長時間、骨の髄までひたすら炊き続けます。味付けの調味料は醤油ではなく「塩」が基本であることも、もう1つの特徴です。
こってり「昔ラーメン」とまろやか「ラーメン」の2種
メニューは創業の味でこってり系の「昔ラーメン」と定番まろやか系の「ラーメン」の2種類が楽しめます。
「昔ラーメン」には、手作りラードから生まれる豚脂の揚げ玉(通称:カリカリ)が入っており、懐かしい風味を醸し出しています。
自家製麺は、国産小麦を独自にブレンドした大砲ラーメン専用粉を使用し、スープとの絡みを考え、低加水(=麺に加える水が少なめ)のストレート中細麺で、コシと滑らかさがあります。
九州で圧倒的な人気度・知名度を誇る、大砲ラーメン。ミシュランガイド福岡・佐賀2014 特別版において、本店と長門石店の2店舗が「ビブグルマン」を受賞したという快挙も果たしています。その味が首都圏で味わえる機会をお見逃しなく。ラー博出店期間中、「第3の味」も登場するかも……とのことです。
「あの銘店をもう一度」第9弾は、新ご当地ラーメン創生計画第2弾で誕生した「八戸麺道 大陸」です。
「あの銘店をもう一度」情報
期間:2022年7月1日~約2年間(各店舗約3週間)
場所:新横浜ラーメン博物館
期間中出店数:約40店舗(現店舗除く)
第7弾:北海道・札幌「名人の味 爐(いろり)」11月4日~11月24日
“94年組”第1弾:目黒「支那そば 勝丸」11月7日~翌2月26日(予定)
第8弾:福岡・久留米「大砲ラーメン」11月25日~12月15日
第9弾:八戸麺道 大陸 12月16日~1月9日
URL:https://www.raumen.co.jp/
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