老猫には飼い主の「笑顔」が薬になる
――後悔しないのが基準というのは、どういうことでしょうか?
北野院長:実際、愛猫が亡くなった後のお話になりますが、「ペットロス」になってしまう飼い主さんは「後悔」を口にされることが多いように感じるからです。
愛猫との最後の日々が後悔を残すものではなく、「やれることはやった」と思えるものの方が良いのではないでしょうか。
――そうですね。実際、私も老猫をみとった経験があります。少しでも良くなればという願いから、サプリメントを購入したり、自然治療を取り入れたりなど、アレコレしていました。「後悔したくない」と考えていたかもしれません。ただ、先ほど伺った「死を自然なものとして受け入れる猫」に対して、飼い主の思いで、いろんなことをしたいと思いうのは、猫にとってみればかえって負担になることはないのでしょうか?
北野院長:いろんな治療があり、飼い主さんが感じている思いもいろいろだと思います。私の今までの経験の中で感じることは、飼い猫、犬どちらも、飼い主さんのことが大好きということです。
そのため、飼い主さんが、アレ・コレ、一生懸命世話してくれるのはうれしいし、そんな折に見せる飼い主さんの優しい「笑顔」は、飼い猫を元気づける薬にもなると思いますね。
そうは言っても、体が弱っている老猫にとっては、ストレスになることもあります。その点を理解し、気を付けてあげるとよいと思います。