一般社団法人ペットフード協会が2021年に行った調査によると、猫の平均寿命は15.66歳となり、年々延びています。
愛猫と長く一緒に暮らせてうれしいと感じる反面、もし、お別れする時期が近付いたら、どんなことをしてあげればよいか悩む人も多いのではないでしょうか。
今回は、老猫(高齢猫)や老犬(高齢犬)の体に負担をかけない治療を専門に行う「老犬元氣クリニック」の北野昭子院長に、高齢猫の体が弱ってきたとき、飼い猫と飼い主が安心して過ごすにはどうすればよいかを伺いました。
飼い猫とのお別れに「後悔」しない
――猫の平均寿命は15.66歳ですが、実際は、20歳近い愛猫と暮らす人は多くいます。どんな元気な愛猫でも、高齢になるにつれ、体が衰え始めたり、病気になったりという状態になります。「別れ」が迫っていることを感じる反面、「まだまだ一緒にいたい!」と思うものです。猫も飼い主と同じようなことを考えているのでしょうか?
北野院長:猫が人間よりも早く成長し、老い、死ぬということは、どの飼い主さんも理解していらっしゃいますよね。
しかし、いざとなれば離れがたい、いつまでも一緒にいたいと思ってしまうのも事実です。実際、ペットと飼い主の関係は、一緒に共有する時間が長ければ長いほど、お互いの関係性も深いもの、そう感じるのは当然ですよね。
ただ、猫に限らず動物は人間ほど複雑な感情を持っていません。彼らの場合、自然のまま生き、死ぬのは当たり前のこと。あらがう気持ちもなく、静かに受け止めているのではないでしょうか。
――そうなんですね。しかし、飼い主にしてみれば、病気を治すことは出来なくても、何かしてあげたい気持ちになります。そんな場合、どこまで治療をすべきなのか迷われる人も多いのではないでしょうか。愛猫にしてあげられることにはどんなものがありますか?
北野院長:実際、高齢になった愛猫に対しては、どこまでどんな治療をするかは、飼い主さん次第。獣医師は、治療、かかる費用、リスクなど、必要な情報を伝えるだけだと思います。
そういった情報を基に、飼い主さん自らが、愛猫に何をするか選ぶのが「答え」のような気がします。
あえて言うとすれば「後悔しない」ことは、1つの基準になるかもしれませんね。
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