猫は体の不調を隠そうとするため、老猫(高齢猫)だけど、今までと変わりなく元気と思ってしまいがちです。しかし、高齢であれば、見た目の印象とはうらはらに何か病気が隠れているかもという慎重さが大事です。
今回は、老猫や高齢犬の体に負担を掛けない治療が専門の「老犬元氣クリニック」北野院長に、老猫によくある病気を見逃さないための、老猫に適した健康診断、日頃の健康チェック、自宅でのケア法などを教えてもらいました。
老猫に必要な血液検査とは
――今回は、老猫の健康診断の1つである「血液検査」についてお聞きしたいと思います。まずは高老猫の健康診断の頻度はどのくらいがよいでしょうか。
北野獣医師:一般的に、7歳以上は老猫といわれ、年に2回の血液検査が望ましいといわれており、目安になると思います。しかし、老猫になれば、個体差も出てきます。
猫ちゃんの様子に合わせて、かかりつけの獣医さんと相談しながら、血液検査の回数を決めたらよいのではないでしょうか。
――確かに、7歳以上でも若々しく見える猫もいれば、お疲れ気味かな? と感じる猫もいます。老猫になると個体差があるというのはよく理解できます。その際、必ず確認したい血液検査の項目について教えてください。
北野獣医師:血液検査には血球検査と生化学検査の2つがあります。血球検査では、白血球・赤血球・血小板の数や形状のチェックを行います。貧血、脱水、炎症の有無などが分かります。
生化学検査については、さまざまな検査項目があり、病院ごとに違いがあります。老猫であれば、腎臓や肝臓の数値、甲状腺機能亢進症の数値などをチェックします。腎機能や肝機能の状態などを確認できます。
定期的に血液検査を行い、データを積み上げておけば、猫ちゃんの異変を早めに察知できるでしょう。
ただ、老猫になれば、体調は不安定になりがち。暑さ、寒さなどの環境的要因がストレスになり、体調に影響することもあります。直近の血液検査で特に問題を指摘されなくても、異変が起こるかもしれません。飼い主さんが、猫ちゃんの日頃の様子をよく観察することが大事ですよね。
老猫の体と心を日頃からチェックする
――血液検査も大事だけど、日頃からの観察も大事ということですね。飼い主が老猫の不調を見逃さないための、自宅でできる健康チェックについて教えてください。
北野獣医師:例えば、「1日の水分摂取量」「オシッコの色・量・回数」「体重が減っていないか」「いつもと比べて食べる量が多い/少ない」「毎日1回、ウンチが出ているか」などを観察し記録しておくと、異変に気付きやすいでしょう。
また、老猫がソワソワ落ち着かないなどの様子が見られたときの状態も記録しておきましょう。周囲が騒がしかった、気温差があったなど、猫がストレスを感じるかもしれない原因を把握できます。
――老猫の体調は変化しやすいということですね。
北野獣医師:猫はストレスに弱い動物なので、いろいろなストレスが原因で病気スイッチが入ってしまうこともあります。
自宅では、猫ちゃんの様子を観察することに加え、リラックスできるようケアしてあげるとよいですね。