猫の15歳は、人間の年齢に換算すると、76歳ぐらいです。高齢猫(老猫)と呼ばれ、個体差もありますが、体調にさまざまな変化が表れることがあります。
特に気を付けたいのが「食が細くなり痩せてくる」という状態です。高齢になれば、猫も人間と同じく、あまり活発に動かなくなるので、食べる量が少なくなりがちです。
そんな中、「いつも食べているキャットフードにほとんど口を付けない……」となると、体力がなくなってしまうのでは? 何か病気を発症しているのでは? と心配になりますよね。
今回は30年間猫と暮らし、高齢猫の世話について情報発信している筆者が、食が細くなった高齢猫がご飯を食べなくなった理由とともに、おすすめの食べ方、キャットフードを紹介します。
15歳以上の高齢猫、食が細くなる原因とは
人間でも日によっては「なんだか食べる気がしない」という日もありますので、猫も15歳を過ぎると、同じように感じることがあるのではないでしょうか。
しかし、「ほとんど食べない……」という日が続くようであれば、何かの病気が原因なのかもしれません。その際は、すぐに獣医師に診てもらうようにしましょう。その際、猫の状況を正確に伝えられるよう、以下の情報をまとめておくとよいでしょう。
●獣医師に伝える内容
・いつも与えているキャットフードとその量
・いつ頃から食べないのか
・水の飲む量、オシッコの量
・日頃の様子で変わった点などあるか
また、考えられる病気などは次のようなものがあります。
●腎臓などに問題がある可能性も
猫の泌尿器ケア研究会(花王ニャンとも清潔トイレ)のデータによると、13歳以上の猫の約20%慢性腎臓病になっています。
慢性腎臓病は、腎臓の機能が失われる病気で、症状には食欲がなくなったり、多飲多尿が見られます。突然的に発症するように感じますが、腎臓のダメージ65%近くまではなかなか見つけにくい病気です。
「なんだか、最近おかしいな……」と感じたら、早めに動物病院へ行くようにしましょう。
●口腔内の問題が原因
かかりつけの獣医師によると、3歳以上の猫の80%は歯周病にかかっているそうです。歯磨き習慣などのない猫ですから、仕方ないかもしれません。猫の歯周病、口内炎が進むと痛みが生じるため、ドライキャットフードが食べられなくなります。
口元や口腔内を観察し、歯茎から血が出ている、歯がぐらつく、口の中からイヤ臭いがするなどの症状が見られたら、動物病院で処置をしてもらいましょう。
●自律神経系の乱れからくる食欲不振
高齢になると、寒暖差、気圧の変化、湿度などの環境の変化で自律神経が乱れることがあります。我が家の猫たちも、冬から春、梅雨、夏から秋などは食欲不振が見られます。
人間でいうところの「なんとなくダルい」「疲れが溜まっている」「食欲がない……」のような状態なのではないでしょうか。
暖かくして、水分をしっかりとって休ませると調子が戻ることもあります。1~2日ぐらいは様子を見て、3日目でも回復が見られない場合、動物病院に連れていくようにしています。
猫ちゃんの様子を見守りつつ、早めに病院へ連れて行くと、飼い主の私たちも安心ですね。
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