「イエベ」「ブルべ」は、パーソナルカラー診断の用語で、その人に似合う色の傾向をアドバイスする際に用いられる言葉です。イエベ(イエローベース)は、暖かさや黄みを感じるような色を、ブルベ(ブルーベース)は、冷たさや青みを感じるような色を指します。そして、イエベの色が似合う人はイエベ、ブルベの色が似合う人はブルベというように、人の分類にも用いられます。
しかし、「イエベ」「ブルべ」という分類を窮屈に感じている人もいるようです。2022年6月、とあるバラエティ番組に歌手で俳優の安斉かれんさんが出演し、イエベ、ブルベという言葉が流行ったことによる悩みを明かしました。
安斉さん自身はイエベだと明かしつつ、「“この色かわいいな”とか言っても、(友人が)“それはブルべの色だよ”みたいな感じで言ってくる」と吐露。好きな色味のものを買いにくくなってしまうことに、ストレスを感じているそうです。安斉さんが言うように、イエベ・ブルべに縛られすぎて、好きな色のコスメや服を買いづらくなってしまうのは、本末転倒ですよね。
そもそも、パーソナルカラーはどのように分類される?
パーソナルカラーは色の分類方法に独自性があり、黄みを帯びているか、青みを帯びているかを見ていきます。イエベの赤とブルベの赤というように、青、ピンク、黄色、緑、紫など、あらゆる色をイエベとブルベに分類することができます。人についても同様で、肌の色、瞳の印象などに着目すると、イエベとブルベの違いが分かるようになります。
このように、パーソナルカラーの分類方法が分かってくると、この色はブルベ、あの人はイエベというように、色と人を分類したくなり、頼まれもしないのに、周囲の人にパーソナルカラーを語ってしまう……。よくあるケースですが、この“分類付け”が余計なひと言になってしまうこともあるようです。
指の第二関節を押して、出てきた「赤み」の傾向で診断する方法もある
パーソナルカラー診断には、いくつか方法があります。例えば、指の第二関節のあたりを軽く押すのもその1つ。第一関節の赤みの傾向で、青みを帯びた赤はブルベ、オレンジみを帯びた赤はイエベとなります。
オンラインの画像診断は、スマホで自分の顔を撮影すると、その画像を基に瞬時に診断結果が提示されます。画像診断は、撮影時に周辺光などの影響を受けるため、色に関する正確な情報を得るのは難しい面もあるのですが、より精度の高い診断が可能となってきています。
カラリストが胸元にカラードレープを当てて、顔映りを確認しながら、タイプを導き出す診断方法もあります。最も納得感を得られやすい方法ですが、人が人を見る方法なので、例えば、カラリストのAさんの診断はブルベ夏、カラリストBさんの診断はイエベ秋というように、診断結果が異なる場合も。
ブルベとイエベの境界も、定規で線を引くように、真っ二つに分かれるものではありません。イエベの人でもブルベの色が似合う場合もあるし、ブルベの人だからといってブルベの色だったら何色でも似合うというわけでもないのです。
気分に合わせて、ブルベ・イエベの分類から逸脱するのもおすすめ
オンラインの画像診断や口コミサイトの書き込みなど、パーソナルカラーの分野でもビッグデータの利活用が進んでいます。画像診断については、画像から得られる情報を収集、蓄積、分析することで、診断結果の精度はますます高まっていくでしょう。その一方で、カラリストが行うパーソナルカラー診断では、診断を受ける人の思いが尊重されます。例えば診断を受けた人が、自分はブルベ夏であってほしいと強く思っている場合、「認知バイアス」が働き、Aさんのブルベ夏という診断は正しくて、Bさんのイエベ秋という診断はデタラメだと思い込んでしまうこともあり得ます。一方、カラリストの側も、診断を受ける人がブルベ夏であってほしいという思いを強くにじませている場合、診断結果がイエベ秋だったとしても、それを受け入れてもらうのは容易ではありません。パーソナルカラー診断には、受ける人の気分や心の持ちようによっても左右されるのかもしれません。
人はとても多面的で複雑な一面を持ち合わせています。ファッションリーダーとして注目される安斉かれんさんのように、ときにはブルベ・イエベの分類から逸脱しながら、自分が欲しいもの、自分に似合うものを吟味して、自分なりのおしゃれを楽しんでいただけたらと思います。
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