2022年は「物価上昇」に「円安」に、家計を悩ませるニュースが続いています。7月にはパンや食用油、電気料金などが値上げされ、7~8月の値上げ品目数は約3000以上になるなど、本格的な「値上げの夏」がやってきます。私たちは今後、どのような対策を講じて行けばよいのでしょうか。
今回はメルカリが実施した「メルカリ・メルペイ活用 家計防衛術勉強会」の内容から、FP事務所アイプランニング代表でファイナンシャルプランナーの飯村久美さんが提案する「物価上昇にどう打ち勝つ?人気FPが教える家計防衛の考え方」を紹介します。
値上げラッシュで家計負担は年間約7万円増
ファイナンシャルプランナー歴10年以上の飯村さんによると、家計の資産運用に関する相談内容がここ数年で大きく変わってきているそうです。
「以前は資産をどう増やしたら良いか、住宅ローンをどう組んだら良いかといった相談内容が多かったのですが、最近は物価上昇、円安が家計に大ダメージを与えている中でどうやってお金を貯めていったら良いのか、なかなか貯蓄ができなくて赤字家計で困っているという相談が本当に増えてきています」(飯村さん)
総務省が2022年4月に発表した統計によると、生鮮食品を除く「全国消費者物価指数」は前年同月比で2.1%上昇しました。この伸び率は、消費税が10%に引き上げられた際に2.2%上昇した2015年3月以来約7年ぶり。増税の影響を除くと、2008年9月の2.3%以来およそ13年ぶりの水準となっています。
参考:2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)5月分(2022年6月24日公表)総務省統計
飯村さんは「約13年間、私たち生活者は『モノの値上げ』を感じていないため、急な物価上昇に慣れていない、どうしていいか分からない状況にあります」と説明。日本インフォメーションが2022年4月に実施した調査によると、79.6%の生活者が物価上昇を「実感する」「やや実感している」と回答しています。
「賃金がなかなか上がらない中で電気代やガス代、食費など、生きていくために必要な資質が値上がりしているのは非常に苦しい状況、悪い物価上昇であるといえます」(飯村さん)
大手電力10社が5月末に発表した内容によると、家庭向け電気料金は北海道電力、東京電力エナジーパートナー、中部電力ミライズ、九州電力の4社が値上げとなります。東京電力資産のモデルケースでは、標準的な家庭の場合1カ月当たり約300円の値上げになるそうです。
参考:2022年7月分電気料金の燃料費調整について(東京電力エナジーパートナー)
みずほリサーチ&テクノロジーズの調査では、1年間で家計負担が約7万円増となり、さらに円安の影響を加味すると約8万円の負担増との試算も出ています。
「年間7万円は1カ月当たり約6000円。食費の平均額は手取り収入の約15~16%ですので、例えば手取り30万円の家庭の場合は食費が4~5万円。そこに水道光熱費が約2万ですので、6~7万円の金額に対して6000円、約1割の負担増となる計算です」(飯村さん)
内閣府が5月に発表した消費動向調査によると、約6割の人が「悪くなる」「やや悪くなる」と回答し、暮らし向きが厳しいと感じていることが分かりました。
参考:消費動向調査(内閣府)
こうした物価上昇に対し、私たち生活者はどのように防衛していったら良いのでしょうか。飯村さんは3つのポイントを挙げています。