ブルース・ウィリスさんが患われた失語症とは
アメリカの俳優ブルース・ウィリスさんが、失語症を理由に俳優業引退を発表したというニュースが報道されました。私は、ウィリスさんが主演を務めた映画『ダイハード』シリーズや『フィフス・エレメント』が好きで何度も楽しんで見ましたので、とてもショックです。
失語症とはどのような病気なのか、原因や治療法が気になっている方も多いことでしょう。失語症の基本事項を解説します。
「話せない症状」とは限らない「失語症」
失語症と聞くと、言葉が出なくなったり、うまく話せなくなったりする病気だと思っている方が多いかもしれませんが、これは必ずしも正しくありません。言語活動は「話す」だけではなく、「聴く」「読む」「書く」という活動も含みます。
これらのどれか1つか複数が障害されるのが失語症です。失語症は、脳の一部が損傷される、すなわち神経細胞が失われることによって生じます。書かれた文字の意味が分からなかったり、話をうまく復唱できなかったりする場合も、「失語症」と診断されることがあります。
失語症完治は難しいが、改善を目指すリハビリは有効
現代の医学では、失語症を手術や薬で完全に治すことはまだできません。しかし、元通りに回復できないとしても、リハビリを行い、脳の機能をさらに引き出せるようにアプローチすることは有効です。
主に、「言語聴覚士(ST)」が中心となり、それぞれ異なる症状に合わせてリハビリを行います。残された機能を使ってコミュニケーションをするための方法を考えていくことも非常に大切です。
失語症の原因・予防法
失語症の原因はさまざまで、頭部のけがや、認知症の原因疾患などによって起こることもあります。しかし約9割は、脳卒中による後遺症です。脳卒中には、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などが含まれます。
そのため、失語症予防に1番有効だと考えられる方法は、脳卒中予防と言えるでしょう。
高血圧、不整脈、糖尿病、高脂血症などは脳卒中の危険因子になるため、会社の健康診断や人間ドックなどでこれらの傾向が見られる場合、健康的な食生活や運動習慣、ストレス対策などを考えて実践していくことがとても大切です。
【おすすめ記事】
・失語症とは……種類・原因・治療法・予防法
・認知症治療薬「アデュカヌマブ」承認見送りの背景と課題
・コロナ禍で依存症が増加? 依存症リスクを回避する方法
・ワリエワ選手のドーピング疑惑……トリメタジジンの効果と事例
・北京冬季五輪でも発生か? スポーツ選手とドーピング問題