【保護者が突撃!】「通知表」が存在しない学校も!? 小学校の元教師が教えてくれた意外な事実

学校教育の気になることや素朴な疑問を保護者目線でどんどん取材&解決していく【保護者が突撃!】シリーズ。今回は、通知表の知られざる一面に迫ります。

児童や生徒と先生の間でどんな教育活動が行われているのか、見えない部分が多い学校という世界。子どもを預けているからこそ知りたいことがたくさんあるものの、聞きにくい……。そこで学校教育の気になることや素朴な疑問を保護者目線でどんどん取材&解決していく【保護者が突撃!】シリーズ。今回は、通知表の知られざる一面に迫ります。

 

親にとっては、通知表の「よくできる」が1つでも増えたらうれしいし、減ったとなると心的ダメージはそこそこ大きい

 

出さない学校も!?  実は小学校に「通知表を出す義務」はない

教科の成績や学校生活の様子が記録される通知表。自治体や学校によって、「通信簿」や「通信表」あるいは「あゆみ」「のびゆくすがた」「〇〇っ子」など、さまざまな呼び方があります。多くの学校が出しているものですが、実は学校が任意で発行していることはあまり知られていません。

20年以上、公立小学校で教員を務めた経験のあるA先生にお話を聞いてみると……。

「通知表は、ほとんどの学校が出していますが、公的文書ではありません。義務ではないので、ごくまれに発行していない学校もあります。たとえば、長野県伊那市にある伊那小学校は、長らく通知表を出していない学校として有名です」(A先生)

作成するかどうかが任意なので、呼び方はもちろん形式や表記の仕方に至るまで、自治体によってさまざまというわけですね。
 

「子どもの実力」が分かりづらい?通知表の見方と学力の判断目安

「最近の通知表は、絶対評価。他人との比較ではなく、あくまで個人として目標とする基準をクリアしたかどうかが評価されます。◎○△などによる3段階評価で、達成度を示す学校が多い状況です」(A先生)

親世代が小学生だった頃の通知表は、絶対評価ではなく相対評価。2002年度施行の学習指導要領で変更されるまでは、相対評価が一般的でした。1~5までの5段階評価をしている学校が多く、クラスの中で自分がどの位置にいるかが明確に分かる評価システム。5がもらえるのは40人学級では数人が目安でした。「お父さんはオール5だったことがある」などと子どもに言った経験はないでしょうか。

絶対評価になったことで、1評価あたりの人数制限がなくなり、クラスによって◎の数にばらつきがある状態。学習の達成度がイマイチよく分からないという声もよく聞きます。

「相対評価で育ってきた親世代にとって今の通知表は、子どもの実力が分かりづらいかもしれません。子どもの学習達成度がどの程度なのかを知るには、学年末に行われるまとめのテストをチェックするのがおすすめ。テストがどの程度できているかを目安にするといいでしょう」(A先生)
 

学校は万全の体制!? 「意欲」という見えないものはどう評価する?

視覚化しやすいテストの点数は分かりやすいですが、気になるのは、たとえば意欲や態度といった数値では表しにくい項目。教員の主観に左右されてしまうのではないか、という不安もぬぐい切れませんが……。

「どの学校も、分かりやすい基準をしっかり持っています。特に中学校は高校入試に直結するので切実。保護者や子どもの受け止め方もシビアです。保護者から、なぜうちの子はこの評価なのかと問い合わせがあったときに、明確に答えられるようそなえています」(A先生)

保護者からのクレームとして多いのが、テストの点数が良かったのに評価が悪かったというものなのだとか。

「教員はいきなり根拠なく悪い成績をつけることはありえません。子どもや保護者に説明できない評価のつけかたはしませんし、子どもたちにも『この提出物を出さないと評価が下がるよ』といった具体的な説明も随時しています」(A先生)

教員とよくコミュニケーションを取れる子がいい評価をもらえるといった口コミもありますが、まったく教員による主観はないのでしょうか?

「教員は、分かりやすく数値化できるものを重視して評価をしています。もちろん、担任一人が独自の主観でジャッジしているわけでもありません。評価基準は、学校によって大きく変わることはないですし、分かりやすい評価基準を公表し、配布している自治体もあります。また担任だけでなく教科担任、学年主任などの管理職もしっかりチェックしています。評価が妥当かどうか、コメント部分などは内容に不適切な部分がないか、誤字脱字に至るまで入念にチェックされたうえで発行されています」(A先生)
 

難しい判断を迫られることも…コロナ禍で変化する学校のルール

コロナ禍で実施した、あるいは現在も併用している学校も多いオンライン授業。急な対応を求められて混乱した現場が多かったといいます。

「最初の一斉休校の際は、多くの学校が混乱しました。あれから試行錯誤を繰り返し、少しずつ軌道に乗ってきた学校も多いかもしれません。オンライン授業は、不登校だった子が参加しやすいという利点もありますが、逆にコロナがきっかけで登校しなくなったパターンもあります。出席率は評価にも影響しますので、教室にいる出席とオンラインでの出席をどう差をつけ、どうとらえていけばいいのか、評価について悩んでいる学校も多いと思います」(A先生)

コロナ禍で浮き彫りになった学校のIT化問題ですが、オンラインと対面の授業を併用していくのが未来の学びの形だというA先生。今後、ますます進むオンライン授業の活用にともなって、きっといい方向に整備されていくだろうと希望を語ってくれました。



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